スタッフ連載

元金融マンの【マッチングの流儀】Vol.3 「昇竜の年に商流把握」

2012.03.02

金融機関に求められるのが「金貸し」だけではなくなった昨今。「じゃあ、取引先は何を求めているのか?」と頭を悩ます金融マンも多いとか。
元金融マンで、現在、大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」で、中小企業の商売繁盛のために大奮闘中のワタクシ竹内心作が、金融機関の皆さんに「ビジネスマッチング」の極意を紹介していきます。

10回にわたってお送りするマッチングの流儀。今回は商流の把握についてです。

「竹内さん、ホントにいい会社があるんで紹介しますよ」と金融機関の方に言っていただく機会が増えている。
好きな女の子の名前をこっそり教えてもらう感覚に似ていてドキドキするのだが、毎回思うことがある。

「いい会社の『いい』って何だろう?」

社長のキャラクターがいいのか、利益をバンバン出している成長性がいいのか、ピカイチの技術力がいいのか、期末にお付き合いでお金を借りてくれる優しさがいいのか・・基本的に金融機関が考える「いい会社」とは、BSに不明瞭な科目がなくて、内部留保がしっかりできていて毎期安定した黒字を出す会社といったところだろう。

もちろん財務状態がいいに越したことはないのだが、“その会社が社会にどんな価値を提供しているのか”こそが「いい会社」の基準になるのだと私は思う、うん。そして、企業の価値を把握するための方法が商流を理解することではないか(出た~という声が聞こえてきそうだが)。

例えばメーカーなら、どのような材料を仕入れ、どんな加工をほどこし、どこに売っているのか。サービス業でも小売業でも不動産業でも商売の流れをおさえることで、その会社の全体像が見えてくる。

全ての企業は存在する以上、何らかの価値を社会に提供しているはずだから、金融機関人としてはそこを理解してあげたい。数字から入るんじゃなくて、商流から入りたい。

では、ここで練習問題。スキー場の商流を考えてほしい。まず川上から。何を仕入れているか?

・・・・そう「雪」を乱層雲から仕入れている!のでは、もちろん無い。

なぜならお金を支払って調達しているものではないからだ。通常は商流に伴って資金、情報、人なども流動する。商流を把握することは一粒で三度四度おいしいことになる。

このケースの場合、仕入れているものはリフトであったり、スノーモービルということになるのだろう。
(川下はもちろん我々一般ピープルだ)

「新規取引をしたいのは分かった。で、この会社のどこがいいんだ?」

支店長からのこの質問に詰まることなく、商流を説明した上で財務状態を報告できれば もう勝ったも同然だ。決して受付の女の子がカワイイからなどと言ってはならない。

(大阪産業創造館 竹内心作)

竹内さん_ゴルゴ風イラスト (3)

【元金融マン竹内が手掛ける!】
大阪産業創造館と金融機関が協働して中小企業の販路開拓や売上拡大を応援
中小企業応援団

大阪産業創造館

プランナー

竹内心作

http://www.sansokan.jp/supporters/

岡山県出身、元銀行マン。大阪産業創造館と在阪の金融機関が協働して中小企業の販路開拓や売上拡大を応援する中小企業応援団を取り仕切る。愛読書は「鬼平犯科帳」、座右の銘は「守破離」の若年寄キャラ。