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中国で根を張り起業 原動力は「反骨精神」

2013.12.09

日本人が中国でメーカーを立ち上げ、自社ブランド商品を現地工場で生産し現地で販売する―現地に根差した中国進出の成功事例は限られるなか、見事に軌道に乗せているのが大阪生まれの女性起業家の熨斗 麻起子(のし まきこ)氏だ。自社ブランドのボトルウォーター「蘇生水」を中国広東省深センの自社工場で生産し、地元の企業を中心に販売。いまや年商は1億5000万円、中国人従業員50人を率いる経営者として活躍している。

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同氏が中国に渡ったのは、「たまたま」だという。「海外での日本語教師をめざし、偶然もらったチャンスが中国だったんです」。大学卒業後、22歳で渡中し、湖南師範大学で念願の日本語教師の職に就く。仕事は充実していたものの、「自ら社会経験を積まなければ教え子に的を得た指導ができない」と考え、教師として成長するためにいったん退職し、日本企業で働くと決めた。

現地採用で再就職したのは深センにある日系部品メーカー。購買管理責任者、生産管理、営業、製造部長として活躍したのち、30歳で転機が訪れる。同メーカーの経営者から、飲料水ビジネスを行う会社を共同設立しようと誘われたのだ。「中
国の人件費は年々高騰し、プレス加工だけではやっていけない。自社ブランドを持つのが生き残る道」との危機意識のもと出た数ある案の中から最終的に残ったのが飲料水ビジネスだった。

2002年に可宝得環保技術有限公司を共同設立し、同氏は営業責任者として蘇生水の販売活動をスタート。「売上げを踏み倒されたり、騙されたり。中国での事業化は常にファイティングポーズですよ(笑)」と振り返る。

幾多の苦難を乗り越えながら販売実績を上げ、2006年には年間売上げ100万本を突破。ところが共同経営者が次々と会社を離脱し、図らずも自ら代表に就任することに納得いかない気持ちを抱えながらも、今までついてきてくれた社員のために「必死だった、やるしかなかった」。しかし、何より同氏を奮起させたのは、「中国で水ビジネスなんて1年もてばいい」という日本人のひと言だ。

「やってみようじゃないの」の反骨精神を胸に、時間をかけて信頼関係を醸成してきた中国人社員たちと共に中国ビジネスの奮闘は続く。

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▼紙面では紹介しきれなかったロングインタビューはこちら

https://bplatz.sansokan.jp/archives/1525

 

 

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可宝得環保技術有限公司

総経理

熨斗 麻起子氏

http://www.soses.cn/jp/

設立/2002年 従業員数/50名 事業内容/日本のろ過技術を活用してろ過、活性化させた自社ブランドの飲料水「蘇生水」を生産販売。地元企業に向けて、現在、年間120万本を売り上げる。