《講演録》「小さな企業が生き残る」これからの時代のモノづくり×デザイン×経営

―― 日本の商業を支えていたのは問題として出た百貨店だったような気がするのですが。

私も百貨店には出店していましたが、デメリットはあっても結局必要性は感じています。そこは在り方の問題だと思います。そこで私は無茶苦茶なことを考えているのですが、百貨店再生を私たちクリエイティブ側からできないかと本当に思っているのです。

職人さんを音楽家に例えると、店側の「3」の人は楽譜設計者だと思うんです。結果として例えば店頭でバラードの楽譜が売れているのに、職人さんは演歌を歌っている。それで演歌を催事に何度出品しても売れない、というのが今の現状だと思うのです。

歌っている方は売れているのがバラードであることを伝えてもらってないので、演歌を歌い続けている。歌は上手いのですが。その状況を変えないと、このミスマッチは今後も続くと思います。

―― そのミスマッチをなくすには、長い時間をかけて、長い目で「売る側」に意識を育むというのがすごく重要だと思うのですが。

売れている店の去年の実際のデータを出すので勉強会をすると言うと、「そのリソースがちゃんと見られるのであれば、お金を出してでも参加したい」という人が出てくると思うんです。

そこで「来年はこのマーケットでは、こんなニーズがある可能性がある」とか、「このマーケットでは、このシーズンはこれは売れない」とかがわかれば、例えば催事に陶器を持ってくる人も、在庫を全種類持っていかなくても「これとこれだけ持っていけばいい」という「戦いのプログラム」が組めるというのは非常に大きいことだと思います。

―― 逆にデータや情報、売るチャンスを何度もくれる場所があれば、作り手側には、それに応える人はいますか。

応えられる人は出てくると思います。まずデザイン会社が変わってくると思うんですが、それに引っ張られる形で職人さんも変わる可能性はあります。

例えば漆器のお椀を作っている方は、ほぼお椀作りにしか着手していないのですが、漆はシリコン以外のほとんどの素材に塗ることができるんです。シリコン以外の素材を持っている売り場は百貨店には無尽蔵にありますし、そういう組み合わせはできると思います。

ですがそのデータをサイエンスする部署が今、どこの百貨店にもないんです。それをこれから変えていけるのかどうかが大きいですね。

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2019年03月06日
有限会社セメントプロデュースデザイン
代表取締役社長/クリエイティブディレクター  
金谷 勉氏

今月の町工場で働くオトコマエ

ゲンバ男子

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