コーチングと物販を連動させ、その両輪で安定経営を実現するラガーマン社長
「日本のスポーツ教育にはサイエンスが必要だ」との理念で株式会社パフォーマンスアカデミーは誕生した。同社は現在、小学生からトップアスリートまで、幅広い層に向けて運動・身体能力向上のための科学的メソッドを提供。
特に小学生の無限の可能性に着目して、全国をキャラバンするスポーツ測定や、ジュニア向けのトレーニング指導を行なってきた。社長の山下氏は、天理大学ラグビー部のコーチとしての顔も持つ。
創業した当初は学校やチームに出向いてのコーチングが主体だったが、米国のジムをイメージした「トレーニングと治療を一体的にサポート」する拠点を開設したのが5年前。
場所は、人目につかない高架下で前の道路は車の少ない一方通行。高架下なので大きな声や音を出してもクレームがこない。グラウンドを作るには大きな資金が必要だが、前に公園がある。そんな独自のロケーション戦略のもと、コンサルタントの猛反対を押し切って強行。当初は集客に苦労した。
しかし、そこでラガーマン魂に火が着き、山下氏は猛烈な営業活動を展開。以前にコーチング・スキル向上のためボランティア指導を各地で行ってきたことが幸いし、オファーに恵まれた。
さらにプロテインを中心とするサプリメントの製造販売も始め、事業は上昇軌道に乗ったが、落とし穴が待っていた。ゴルフ場に出店し、失敗。そこに集まるのは「ゴルフクラブにはお金をかけても、科学的トレーニングには関心のない」人たちばかりだったのだ。
その後は、本来の拠点での事業展開に注力。サプリメントの製造・販売にさらに力を入れた。同社のプロテインは、価格よりも質で勝負する戦略をとっている。「トレーニングする人に満足してほしいので良い材料を使用し、質の良いものを利益幅は抑えながら出しています」。
チーム単位で定期購入するとトレーニングを付けるという、意表をつくプロモーションも一時期展開し、人気を博した。結果、コーチング業との両輪になるまでに物販部門は成長した。
山下氏の夢はジャングルを創ることだ。それも都心の駅前に。「ターザンのように水に飛び込み、岩をよじ登るジャングルには、身体能力を高めるための最高の環境が揃っています」。
ラガーマン社長の目は、つねに次なるトライを狙っている。
(取材・文/山蔭ヒラク)