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顧客の視点に立ったシステム開発で運送業を支援

2017.03.14

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大阪産業創造館 プランナー 志岐 遼介による連載 【ロジは一日にして成らず】

運送事業者の実に9割が中小企業と言われ、デフレ時代の厳しいコスト要求や原油価格の高騰に伴う経費の上昇など厳しい時代が続く物流業界。大阪産業創造館では、そんな厳しい時代を戦う運送事業者を応援しています。

物流の品質向上、現場のルールづくりなど改善活動に役立つテーマや、輸配送や在庫管理マネジメントなど物流KPIの改善手法などをテーマにした「ロジスティクスセミナー」の最新情報はコチラから
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vol.6 株式会社コムアソート「顧客の視点に立ったシステム開発で運送業を支援」

 AI(人工知能)の発達やIoTの進化で、大型トラックの自動運転化やドローンによる宅配も遠い未来ではなくなってきたと言われる物流業界。
ドライバー不足に悩まされる業界にとっては明るい材料であるが、中小運送業は細やかな気配りや大手には出来ない小回りを利かせて顧客の信頼を勝ち取ってきた。そんな中小運送業に伴走し、業務をアシストしてきた会社がある。吹田市に本社を構えるシステム開発会社の株式会社コムアソートである。1981年に設立、昨今ではシステム開発会社が数多ある中、20名程度の従業員数で35年以上も経営を続けてきた秘訣を常務取締役の松田氏と営業推進部の佐藤氏に話を聞いた。

「私たちのユーザは、システム担当者がいないような中小企業がメインです。提供したシステムのサポートはもちろんですが、時にはエクセルの使い方やネットの接続方法、年末年始は年賀状の紙詰まりまでヘルプすることがあります」と笑いながら松田氏は語る。家庭に1台パソコンがある現在で、ここまでのサポートをする理由はコムアソートの歴史と深い関係がある。

常務取締役 松田氏

 コムアソートは車検日や修理歴、走行メーターなどを管理する自動車整備業向けのシステムの販売で成長してきた。当時はパソコンが家庭に普及する前で、主な販売先は家庭で事業を営むような小規模の修理工場ばかりだった。
導入後も操作方法はもちろん、ドットプリンタの紙詰まりなど、問い合わせの電話が鳴りやまなかった。これらの問い合わせに真摯に対応することで、顧客との信頼関係が強固なものとなった。長い付き合いのユーザから契約解除を申し出られることはほとんどないという。
 
 長年培われた中小企業に親身に対応する姿勢が、中小企業が9割と言われる運送業界で力を発揮することになる。運送会社向けの主力サービスであるモプロスが誕生したのは顧客の要望に真摯に向き合った結果だ。
 「キッカケは運送会社さんから車両の店着の時間を調べたいという要望からでした。配送が遅れそうなときに、事前に遅れそうであることを伝えられるか伝えられないかで、受け取り手の印象が大きく変わります。配送ドライバーは自社の社員もいれば、時には協力会社のドライバーであったりするため、遅延に対する認識が異なっていました。運行管理者の方にとっては大きな課題でした」と佐藤氏は説明する。

営業推進部 佐藤氏

 店に到着したらドライバーが携帯電話にてボタン操作で到着の報告を行う。報告が管理画面に反映され、配送の進捗状況が確認できるという、いたってシンプルなシステムであるが、導入までには苦労が多かった。
「これまでの導入で、使い慣れていただくまでに一番時間がかかったところは、50名のドライバー様の配送で約1ヶ月です。ドライバーの高齢化が進んでいるため、開発時にはできるだけシンプルな操作画面で、文字も大きくしました。デバイスの選定もユーザー様の意向を重視しています。導入時には実技を含む説明会を行い、定期的に運行管理者に状況を伺いました」と佐藤氏は振り返る。

 客先でしっかりヒアリングし、コミュニケーションを取って現場の課題をシステムに反映させる。単純そうだが、根気が必要とされる作業をしっかり行うことが信頼を得られるポイントとなっている。
「特徴としてはパッケージではなく、基本テンプレートを企業ごとにカスタマイズするというシステムにしています。ベース仕様では納入したことがないです…(笑)」と佐藤氏。
現在では中国地方の大手小売店イズミや敷島製パンの子会社であるパスコ・エクスプレスにもコムアソートの配送支援システムが導入されている。

 「展示会には積極的に出展しています。市場の動向や業界でどのようなことが望まれているのかを知るヒントが多いからです。最近ではGPSを利用した車輌の位置管理を含む仕組みや、共同配送向けのシステムのニーズが多いように感じています。弊社のシステムはカスタマイズでさまざまなことが可能になります。ユーザー様それぞれの課題解決を実現できればと考えています」。

 預かった商品を目的地へ届ける、と至って単純な仕事に見える運送業界であるが、実は二つと同じ仕事は存在しないと言っても過言ではないくらい、制約やルールが煩雑な世界。
一つひとつの課題に真摯に向き合うパートナーの存在は運送会社にとっては強力な味方となっているはずだ。

(取材・文/大阪産業創造館 ものづくり支援チーム プランナー 志岐 遼介)

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