「三方良しプラス1」を社員が納得する仕掛け 次々に繰り出す
毎朝7時50分になると東大阪の工場街の一角に大きな笑い声が響きわたる。ワッハッハ朝礼の始まりだ。ルールは「最高の、元気な声」で笑うこと。「はじめは恥ずかしがっていたが今は堂々としたもの。工場に来るお客様、社員同士の会話でも大きな声を出し、自然に笑顔が出るようになった」
深江氏は8年前に社長に就任してから「三方良しプラス1」を社員に説いてきた。その心は売り手、買い手、世間の三方に加え「お客様のさらにその先のお客様、つまり製品を使う人が喜ぶ塗装仕上げをすること」と深江氏。普段から「プラス1」を考えるきっかけにできればとさまざまなテーマを社員に課してきた。ワッハッハ朝礼もその一環だ。「どうすれば最終のお客様に最高の元気な声で笑っていただけるか考えながら仕事に向かうようになった」とその効果を感じている。
先日、取引先の現場塗装に出向いた社員が、取引先の社長から「いつもありがとう」と言われた際、即座に「社長のためではなくその先のお客さんのためにやってます」と答えた。その言葉を聞いた社長から深江氏の下に感激の電話が入った。「言われてやっているだけでは行動にはつながらない」と考え「社員が自分で納得すること」を重んじて実践してきたのが間違いでなかったと確信できた。
昨年から会社のフェイスブックを始めた。「どうしたら読んだ人に喜んでもらえるかを考えることが仕事につながる」と深江氏。はじめはパソコンの扱いさえ知らなかった社員たちが今では毎日嬉々として投稿している。マンネリにならないようにと深江氏は今も新たなテーマを探している。
▲毎朝行われる「ワッハッハ朝礼」。日替わりで社員が「最高の、元気な声で」笑い、残りの社員が後に続いて笑う。
▲毎週月曜日には7時半から全社員で地域の清掃も行っている。
双葉塗装株式会社
代表取締役
深江 裕宗氏
設立/1960年
資本金/1,000万円
従業員数/4名
事業内容/焼付塗装、メラミン塗装、ウレタン塗装、アクリル塗装、耐熱塗装等の塗装全般。「機能を加える」「美観を整える」「保護する」という目的別機能に仕上げるのが強み。