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ママとしてのアイデアと元手5万円と、そして踏み出す勇気

2015.10.09

仙田さん005
抱っこひもは、赤ちゃんを下ろすと腰からだらんと下がった状態になってしまう。「危ないし、かっこ悪い、使っていない時にかさばる」と考えた仙田氏は、抱っこひもをくるくるとまとめて収める「収納カバー」を自分用に6年前につくった。

2人目が2歳になり育児も落ち着いてきた頃に、ブログに写真とつくり方をあげたところ「私も欲しい」と問い合わせが相次いだ。「もっとたくさんのママに使ってほしい!」。多くの母親から意見を聞いて改良し、出来上がったのが「ルカコ」だ。

主婦にとって起業のハードルは高そうと思い込んでいたが、調べてみると開業届を出すだけでいいとわかった。「今までなくてもよかったのだから売れるはずがない」という周りからの声にひるみかけたが「ないものだからこそ必要とされる」と自分の感覚を信じた。

家計を脅かさない程度に、と経費の上限を5万円と決め、事業化に踏み切った。2千円で生地を買って縫製し、ネット販売用のホームページを自作し、手持ちのカメラで商品を撮影して掲載した。すると口コミで評判が広がり、「10万円のパート代を稼ぐつもり」が、半年で月商100万円に達した。

1人では追いつかなくなり、主婦のパートを募集。自分のペースで働きたいママからの応募が殺到した。子どもの都合に合わせ午前、午後だけでも働ける勤務形態にした。創業から2年半で「ルカコ」の柄は140種類まで増えた。

最近は百貨店の催事にも引っ張りだこで、今や月商は500万円。32人の主婦パートが商品づくりを支えている。

事業が大きく育ってきたからこそ大切にしているのが「育児中のママをサポートする」という原点に帰ることだ。自分自身も子どもとの時間が減り悩んだこともあったが、子どもが「ルカちゃんのお母さんすごいね!」と友だちにいわれたと嬉しそうに報告してくれた。

無我夢中で頑張ってきたことを子どもも認めてくれたんだと涙が出そうなくらい嬉しかった。

「ママが思いを込めてつくっている」ことを家族にも世間にもしっかり伝えながら「ルカコ」ブランドにさらに磨きをかけていこうとしている。

ホームステイでたまたま滞在していたイギリス人の女子大生アニーをルカコのモデルに起用。帰国後も再来日してもらい、正社員として採用した。

ホームステイでたまたま滞在していたイギリス人の女子大生アニーをルカコのモデルに起用。帰国後も再来日してもらい、正社員として採用した。

「ルカコ」のブランド名は長女、長男の名前からとって命名した。

「ルカコ」のブランド名は長女、長男の名前からとって命名した。

1人で始めた事業だが、パート、縫製委託スタッフなど32人にまで増えた。

1人で始めた事業だが、パート、縫製委託スタッフなど32人にまで増えた。

誌面では紹介しきれなかったロングインタビューはコチラ
→5万円を元手に、1人から2年半でママ32名のパワーに!

(取材・文/山口裕史 写真/内山光)

抱っこひも収納カバー専門店 ルカコ

代表

仙田 忍氏

http://lucacoh.com

育児用品「ルカコ」の製造・販売