【ロングインタビュー】結婚、出産、離婚…29歳でつかんだ「自分で選ぶ人生」
結婚し、妊娠した直後に夫の浮気が発覚した。以後、キャリアもスキルもない自分の価値を磨き続け、「自分で選べる人生」をつかみとった。「娘に笑顔を見せるために自分が全力で幸せになる」と、ためらうことなく仕事に精魂を傾ける。
―新卒の女子大生と企業とを結びつける事業について、くわしく聞かせてください。
大学生が企業に就職して2、3年で辞めてしまうミスマッチが問題になっています。大学生、企業の双方が「こんなはずじゃなかった」と初めの印象とのギャップを口にします。このようなミスマッチをなんとか減らしたいというのが事業の原点です。
メインは教育で、私たちが学生を育成し、企業には、その育てている現場を何度も見てもらい、この人ならと思った学生を採用してもらっています。人材紹介業ではなく、出会いの場を提供することで顧客企業からフィーをいただいています。
当社の社員は、結婚して子育てをしている人ばかり。しかも、全員、いわゆる一流企業に就職していました。ところが出産を経てなかなか思うような場所に戻れなかったり、キャリアを築いていけなかったりして、仕方なく辞めていく。企業は、仕組みは整えているつもりでも実際には機能していないことが多いのです。学生はしっかりそういうところを見ています。
女性を活用していきたいという企業が増えています。ところが、いい女子学生を採用しようと思えば、会社の方も中身を変えていかなければいけません。そこで、企業に対して、風土を変え、女性社員のモチベーションを上げるための研修にも力を入れています。
企業でもっと女性が活躍できる社会に変えていきたい。そのためのツールとして採用に焦点を当てています。
―企業は女性社員のどのようなところに期待しているのでしょうか。
企業の方がおっしゃるのは、女性のほうが男性より短いスパンで成績を残すということです。男性が長めに物事をとらえるのに対し、女性は目先のことをきっちりやろうとする。そのために念には念を入れ、細かいところにまで目が届くんですよね。企業からしてもそのようなことが出来ると顧客へのパフォーマンスが上がるため、女性の力が必要だと考えて依頼してこられます。
―創業までの経緯は?
ANAに就職したのですが、23歳で結婚して妊娠し、入社半年で辞めました。ところが、妊娠中に夫が浮気していることを知りました。浮気相手との逢瀬を書き込んでいるブログを見てしまい、毎日とっかえひっかえ数十人。ご丁寧に写真までついていました(笑)。
すぐに弁護士のところへ相談に出向いて事情を説明すると、開口一番「なんで離婚するの?」と。「今離婚しても慰謝料も財産分与も知れてるわよ。1人になって稼げる自信があるの?ないなら離婚したらだめだよね」って相手にされなかったんです。最初はどうして?なんで離婚させてくれないの?って感じでしたが、家に帰って冷静に考えてみるとそれもそうだな、と。
―でも、普通はそこで見切りをつけるのでは?
私の最大の武器はしつこさなんです(笑)。子どもが6歳になって小学校に入る前、私が29歳になる誕生日に、あらためて離婚するか、一生添い遂げるか判断しようと決めました。23歳の私は悔しくてもやむなく現状にとどまるしかない自分がいて。でも、6年後には、選べない自分から選べる自分になろうと。そのために6年間突っ走ろうと考えたんです。
浮気に気づいたことはおくびにも出さず、子育ても家事もきっちりやりました。夫は毎日遅く帰ってくるのですが、晩御飯は毎日つくって置いておきました。おまえが妻としての勤めを果たさなかったから不倫したんだよ、と言われたくありませんでしたから。
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