自分の価値を上げたら、「自分で選ぶ人生」が 待っていた
やりがいを感じて就職してはみたけれど入ってみると違った」。「面接で見極めて採用したつもりだけれどこんなだとは思わなかった」。
こうした女子学生と企業のミスマッチをなくしたいと廣岡氏は考えている。そのために、女性が働きやすく、キャリアを積める仕組みを企業に伝授する一方で、女子学生がプロジェクトに挑むプロセスを企業の担当者に直接見てもらうマッチングの場を提供している。
めざすは「女性がもっと活躍できる社会に変えていくこと」だ。
23歳。大手航空会社に就職したものの結婚後すぐに妊娠し、半年で退職。すぐに夫の浮気を知った。弁護士に離婚の相談をすると「1人で稼げる自信がないならやめとけ」と一蹴された。子どもが小学校に入学する6年後に「別れるか、添い遂げるか」判断しようと決めた。
26歳。ようやくエアライン専門就活スクール講師の職に就いた。月収は3万円。「自分の価値を認めてもらえばこれが30万円にも300万円にもなるはず」と自身でスクールを立ち上げた。「志望企業に必ず入れる」を自らに厳しく課し、予約待ちが続く人気スクールに育てた。
そして29歳。なんのためらいもなく離婚を決められる自分がいた。
32歳の時、個人事業を会社にした。働くスタッフは全員、人がうらやむようなキャリアを持ちながら出産、育児などの都合で働く場を見つけられなかった人ばかりだ。
15時半にはオフィスが空っぽになる。残務を済ませ、夜の会合から戻って次の日の準備…。娘と両親が暮らす実家に帰れるのは週に数えるほどだ。
後ろ髪を引かれることもあったが「子どもを言い訳に自分のやりたいことを犠牲にしたくない。娘が見たいのはママの笑顔。だから全力で自分を幸せにする」と前を向いた。そして10歳になる娘は今「お母さんのようになりたい」と言ってくれる。
企業の女性採用状況はまだ「フリ」にとどまっていると感じている。「女性の力を企業に知ってほしい」と、今後は学生だけでなく、第2新卒、管理職、シニアまで全世代に対象を広げていこうとしている。
「起業したら楽しいことしかない」と言い切る34歳。「自分で選べる人生」をおう歌している。
▲企業とのコラボ商品を開発中の女子学生にアドバイス。
▲2015年7月の採用イベント。企業と女子学生100名による大運動会。
▲創業当時の様子。子育て中の女性を社員に迎えた。
(取材・文/山口裕史 写真/笹木淳)
誌面では紹介しきれなかったロングインタビューはコチラ
→結婚、出産、離婚…29歳でつかんだ「自分で選ぶ人生」