【ロングインタビュー】5万円を元手に、1人から2年半でママ32名のパワーに!
―類似した商品が出回るようになっているそうですね。
ルカコの売れ筋の商品と同じ柄でうちより安い価格で販売されているお店もあります。うちの強みは140もの多彩な柄があること。そしてルカコのファンであるパートさんが、ママのために心を込めてつくっていることです。
普通、ネットショップは年中無休のところも多いですが、うちは夏休みと年末年始は1週間ほど休みます。やはり子どもさんや家族とゆっくり過ごす時間を持ってほしいからです。どうしても急ぐ方はルカコからAmazonに納品し、Amazonから購入してもらえるようにしています。
無理して売るのではなく、私たちのペースで気持ちを込めて手づくりした商品をお届けできればと思っています。ママの想いや商品のこだわりなどしっかり伝えていこうと思っています。
あと考えているのは、ルカコオリジナルの生地づくり。自分たちが納得するものを丁寧に送り出していきたいです。もし自分たちがつくったものではなくても「これは!」という商品があれば販売できればと思っています。ただし、絶対に納得した商品に限ります。
―海外戦略にも力を入れているとか。
実は、ホームステイで来ていたアニーが帰国した後、英語版のHPをつくりたいので正社員で採用したいと連絡したんです。本人は快諾してくれたのですが私も母。ご両親が心配なさっているのでは?と思い、子どもを連れてイギリスまで、アニーのお母さんに会いに行きました。お会いして安心してくれたかなと思います。母の思いはどの国も同じですね。そしてアニーに再来日してもらいました。
がんばって働いてくれていたのですが、あるころから何か悩んでいる様子で、話を聞いてみると、「忍を見てたら自分の夢が叶うような気がしてきた」って言うんです。「小さいころから医者になりたかった夢を自分ももう一度追いかけてみたくなった」と。
アニーは、私が5万円を握り締めて事業を始めたころから私のことをずっと見ているので、余計にそう感じたのかもしれません。もちろん賛成しました。寂しい思いもありましたが、私の行動が誰かに影響していることもある、と責任とやりがいも感じました。
―思っていた以上に大きくなってきましたね。
法人にしたほうがいいというアドバイスも受けて考えているところです。今まではママのためにと思って、私も一緒に縫ってやってきたのが、大きくなるとそうもいかなくなります。事務作業も増えてくるし、打ち合わせにも出て行かないといけない。経営者として振舞わなければいけないところも出てくる。事務所にずっといる時間も以前より少なくなってきています。
ただスタッフとは個別にメール、Line、Skypeなどでこまめにやりとりができるのでコミュニケーションはよく取れているのではないかと思います。
大事なのは、ぶれないように自分を持っておくこと。あくまでもママのためという原点に帰るのを忘れないようにしたいと思っています。新たに事務所を借りて、商品を見てもらいながらママが交流できるスペースもつくりたいと思っています。
―起業を考えている女性にかけてあげたい言葉があればお願いします。
子育て中のママが起業することは本当に想像以上に大変です。「売れない!」と言ってくる人もいます。でも、自分が好きな事、やりたいことを絶対にやる!と言う気持ちがあればしっかりそれを信じて進んでいってほしいなと思います。
それから人の意見をまずは素直に聞くこと、自分に合うものと合わないものを選び、いいなと思ったら行動すること。私はなにも長けた人間ではなく、たくさんのママや先輩経営者の方のお話が聞けたからここまで成長できたのではないかと思っています。
(取材・文/山口裕史 写真/内山光)
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