【事業承継相談窓口の舞台裏】連載vol.8 後継者集団が大阪の鉄鋼業界の未来をつくる!?
「事業承継するにあたり、私たち後継者が準備できることって何があるでしょうか?」。これはよく受ける質問の一つです。
経営について学ぶ、社内外の信頼関係をつくる、会社を客観的に見ておく、などできることはいろいろありますが、「自分の代での仕事」をつくることもその一つ。これを自社だけでなく、チームで取り組み始めた後継者グループが『てづくり工場組合』です。
大阪市西区の九条エリアは、金属加工、特に鉄鋼業の町工場が集積する地域。小さな町工場一社では特色を出しにくく、出来ることも限られています。しかし、このエリアには様々な技術・知恵を持った町工場が揃っています。それぞれの技術情報を集約させ、「ここに来れば金属加工の問題が解決できる、九条」を広げるべく、町工場の後継者がブランディングとネットワーク形成に取り組んでいます。
地域活性の取り組みは、最近では目新しいものではありません。しかし、成功事例は多くありません。舵取り役の不在、公平性の維持、ブランディング・情報発信の不足など、原因はさまざま考えられます。
ただ、後継者が取り組むことで、5年・10年先の長いスパンで地域活性を考えることができます。今、製造業の大きな課題となっている廃業などによる技術の消失も、若い後継者が地域課題として取り組むことで、活路を見出せる可能性があります。
彼らの取り組みは始まったばかりで、これからどのように進んでいくのかまだまだ未知数ですが、後継者として家業と地域の未来をつくる挑戦を見守りたいと思います。
▲大阪産業創造館 事業承継なんでも相談所 荒井 祐己子
経営者対象のセミナー講座や若手経営者のためのビジネススクール「なにわあきんど塾」を担当。
長年耳を傾けてきた経営者の声をもとに同プロジェクトを立ち上げた。
経営者と後継者をサポートする、
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