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こだわりの ファスナーで 「世界中に ファンをつくる」

バングラデシュは、1億5千万人の人口の約3割が低所得層とされ、アジアの最貧国とも言われる。近年はその豊富で安価な労働力が着目され、日本企業からも投資先として注目を集めつつある。高井氏はそのバングラデシュで100万円相当の酸素カプセルの販売に取り組んでいる。

そもそもファスナーメーカーがなぜ酸素カプセルをつくることになったのか。同社は1980年代半ばから台湾、中国の会社の協力工場で各種ファスナーの生産を手掛けてきた。12年前には大手100円ショップ向けに手芸用ファスナーの提案が採用され、ファスナー付きの文具や雑貨などに商品の幅を広げていく。いつしか100円ショップ向けの商品の売上げが自社商品を上回るまでになっていた。だが売上げの増加とともに高井氏の中に違和感が膨らんでいく。「流行をヒントに商品を企画して中国の工場に安価でつくってもらう。あたかも安いものがいいものであるかのようなものづくりをこのまま続けてよいのか」。

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自問自答を繰り返し、2012年、第2創業宣言をする。現場のニーズをもとに自ら手を動かし「ファスナー目線での完成品づくりをめざす」ことにしたのだ。祖母の介護で感じた不便さから生まれた、布団の着脱しやすさを考えた掛け布団用カバーもその一つ。そして酸素カプセルの話が舞い込んできた。「カプセルの出入り口のファスナーが壊れやすい」という相談を受け、自社で酸素カプセルそのものをつくることにした。「出入りがしやすい、空気が漏れないといった機能面でファスナーが重要な役割を果たしていることがわかったから」だ。

そんな折、中国に進出していたクライアントの一つから「バングラデシュに工場を出したいのでサポートしてほしい」と依頼を受け同行した。仲介者に自社で製造している酸素カプセルのことを話すと「バングラデシュでも売れる」と意外な言葉が返ってきた。調べてみると、成人病患者が多く平均寿命が60歳と短いこと、富裕層が500万人いて健康への関心が極めて高いことがわかった。「私自身先入観を打ち砕かれた」。仲介者のつてで大手企業と直接話せる機会を得て、トントン拍子に話が進んでいる。「何より日本の製品に対する信頼感が高い」と高井氏は先人が築いてきた日本ブランドに感謝する。

2012年末から進んだ円安で100円ショップ向け事業の採算が悪化した。「輸入一辺倒のビジネスはリスクが大きい」ことを身にしみた今、協力工場をバングラデシュにシフトすると同時に、日本の中小企業と連携してさまざまな日本製品の輸出を強化し、輸出入バランスの取れたビジネスを構築しようと考えている。そして、多くの国で日本企業が受け入れてもらえることへの感謝として「次の世代のためにファスナーを通して世界中に日本のファンを創る」ことを使命に掲げている。

消臭機能を持つファスナーは、大手スポーツメーカーの一部商品に採用されている。

消臭機能を持つファスナーは、大手スポーツメーカーの一部商品に採用されている。

健康への関心が高いバングラデシュの富裕層向けに販売する酸素カプセル。

健康への関心が高いバングラデシュの富裕層向けに販売する酸素カプセル。

(取材・文/山口裕史)

2014年11月10日
協和チャック工業株式会社
代表取締役  
高井 文晶氏

衣類・かばん・寝具・家具からカーシート用まであらゆる商品のファスナーを製造。「BEST」のブランドでオリジナルファスナーも造っている。

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