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地域にあった ものづくりと 市場開拓で 世界網羅をめざす

2014.11.10

アルテコの創業は1965年。当時まだ珍しかった瞬間接着剤の開発に成功し、「アルファエース」の商品名で売り出すも、国内市場では苦戦。そのため、早くから海外に目を向けてきた。創業期から、引き合いのほとんどは海外。売れる場所に近いところで生産、販売するのが合理的だったと浜田氏。為替の変動を和らげるという意味でも海外進出は必然だった。

1980年の米カリフォルニアの現地法人を皮切りに、シンガポール、インドネシア、中国、韓国などで会社を設立。2000年以降、合弁だった会社もすべて子会社化し、今に至っている。

商習慣、宗教、国民性も違う国で事業を展開するにあたり、地域ごとの特色を大切にしてきた。技術系トップ以外はスタッフもほとんどが現地採用で、日本のやり方を押しつけるのではなく、ある程度任せている。特にマーケティングや人材のマネジメントは、現地に任せた方がうまくいくと言う。もちろん任せきりではない。「直接、顔を見て話すことは特に大切にしています。何かあっアたときに素早く対応できるのは、平時の密な意思疎通があってこそですから」。

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海外展開の実績を重ね、昨年からはアフリカ市場の拠点として、ガーナに子会社を立ち上げた。産業が未成熟な市場では、一般用製品が補修や修理、生産の現場で使われる。これにより信頼と知名度を獲得し、その後、その国の産業が成熟していくと、工場などの生産現場では、高い品質の工業用製品が求められるようになる。その時こそ、同社の製品力がものを言う。

未知数な部分は多くとも、先駆けて参入するメリットは多い。確実に「いける」とわかってからでは、ライバルも多く、うまみがない。どんなタイミングで打って出るか。「それはもう『えいや!』で、行くしかない(笑)」。事前のリサーチはしっかりやるが、ある程度調べあげたら、後は決断する。「立ち上げてみて、問題があれば解決していく方が早いんです」と浜田氏。

カリフォルニアを拠点に北南米へ。シンガポールを拠点にアジア、ヨーロッパ、中近東へ。ガーナを拠点にアフリカ全土へ。各大陸に拠点を確保した後は、拠点と拠点のネットワーク上にある有力な地域に進出し、さらに販路を拡大したいと浜田氏。

「中小企業がこんなことを言うと笑われるかもしれませんが、全世界に製品を届けることが我々の事業計画。地域にあったものづくりと市場開拓で、その目標を現実のものにしていきますよ」。

海外で高い知名度を誇る「ALTECO」ブランド。工業用製品のほか、一般ユーザー向けの製品も、世界中で展開されている。

海外で高い知名度を誇る「ALTECO」ブランド。工業用製品のほか、一般ユーザー向けの製品も、世界中で展開されている。

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Face to faceのやり取りを大切にする同社。各国のトップが互いに行き来し、メールよりも電話。電話よりも直接会って話す。

Face to faceのやり取りを大切にする同社。各国のトップが互いに行き来し、メールよりも電話。電話よりも直接会って話す。

(取材・文/北浦あかね)

株式会社アルテコ

代表取締役社長

浜田 和史氏

http://www.alteco.co.jp/

「瞬間接着剤」のほか、橋脚など建造物の補修や補強にも用いられる「エポキシ樹脂系接着剤」など、化学反応型接着剤を製造。工業用製品、一般ユーザー向け接着剤「パワーエース」の製造販売を行う。