産経関西/産創館広場

顧客を感動させるソフト開発に挑戦

2012.11.19

ネットワーク技術の発展により、世界中で膨大な業務データが日々やり取りされている。しかし一方で、企業がデータを活用しようと思っても、データそのものが外注企業のサーバに蓄積されているため、データをタイムリーに活用できず、また、多額の通信料が負担となっていることがよくある。

 株式会社セカンドセレクション(大阪市中央区)の井村喜洋社長は、たった10万円の初期投資で企業自らがデータを蓄積し、しかも無料回線による通信料ゼロを実現するネットワーク技術「Wallaby(ワラビー)」を独自開発。大手企業や大学で採用されるなど、少しずつ実績が上がってきている。

 井村社長は「自分で開発した製品・サービスを社会に提供したい」という思いで5年前にソフトウエア開発会社を立ち上げた。この5年間は事業基盤を固めるために受託開発に力を入れるとともに、「一人では大きな仕事ができない」という思いから、積極的に社員を増やし、教育にも力を入れ、組織力を強化してきた。

セカンドセレクション

 当初は小さな仕事しかなかったが、社員が17人(社長含む)にまで増え、派遣技術者や外注企業の活用など業務体制を整えてきたことが評価されている。最近になって大きな受注案件も増え、この2年間は前年度比60%の売り上げ増となり、受託業務でフル稼働が続いている。

 そしてこの夏、今まで井村社長ひとりで開発・営業をしていたWallabyを本格的に市場に出すため、社内にワーキンググループを立ち上げ、参加するメンバーを社内公募で集めた。社員に自ら企画して行動することを求める井村社長は、ワーキンググループに会社として初めて予算をつけ、社員がやりたいことに自主的に挑戦できるようにしたいと考えている。「ネットワーク技術を口で説明しても伝わらないので、Wallabyを使えばこんなことができる、ということがすぐにわかるアプリケーションを開発し、市場に広めていきたい。そして、お客さまの期待を超える提案をし、お客さまに喜んでもらいたい」と井村社長は意気込みを語る。

 社名のセカンドセレクションは「2つ目の選択肢」を意味する。社名には「お客さまが気づかなかった解決策を提案していく」という井村社長の強いチャレンジ精神が込められているのだ。

(大阪産業創造館 経営相談室 泉仁史)

株式会社セカンドセレクション

http://www.secondselection.com