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「繰り返し精度」にこだわり、高品質ばねに特化

自動車向け中心に高精度ばね製造用の成形機を製造

1台の自動車には大小約4000個ものばねが使われているという。シンコーマシンツールは、これらのばねのうち、人命にかかわる重要保安部品と呼ばれるエンジン、ブレーキまわりのばねを製造する成形機メーカーだ。

線状、棒状に加工されたばね材は、ローラーによって送り出され、コイリングポイントと呼ばれる器具に当たって回転方向へとコイリングされながら、ピッチツールによってすき間を作りながら連続回転し、ばねがかたちづくられる。ばね材の太さや形状によって送り出すスピードやコイリングポイントを駆動させるタイミング、ピッチツールの移動距離などを変えながら、目的のねじが1分に100個というスピードで生産されていく。

高付加価値製品ほど問われるのはその精度で、ばねの長さで±100分の3ミリ、直径で±100分の1ミリまでの誤差の範囲に収めなければならない。さらに求められるのが、「100万個製造しても同じ精度で作り続けられる、繰り返し精度の実現。この安定性こそが、我々高品質なばねを成形する機械メーカーの生命線」と宅見氏は言う。

ロボットメーカーと共同しNC化の波に乗る

1980年代半ばに、引っ張り方向に荷重をかけて使う引きばねにフックをつける製法で、2次加工機と組み合わせる新たな手法を開発し、一気に海外でもシェアを増やした。その後はしばらくばねの生産量に機械の製造が追いつかない時代が続くが、1990年代後半になるとばねメーカーから生産性の向上に結び付く機械が求められるようになった。ばね成形機の業界にもNC(数値制御)化の波が押し寄せたころだった。工作機械は、加工ごとに位置決め(軸)の数が異なり、高度な機械ほど多軸構造となる。最先端の工作機械でも6軸が主流だが、ばね成形機の場合それが20軸にもなる。「複雑な工程をどう駆動制御するか。ロボットメーカー、ソフトハウスと一緒になって3年がかりでNC制御の機械を完成させた」。

売上のうち海外向け比率が30%を占めるが、「品質の高いところで勝負をしたい」と、あえて、ボリュームゾーンである新興国市場向けの低コスト機は手がけず、輸出は欧米及びアジアの日系メーカーが中心だ。「お客様との本当の付き合いは機械を売ってから始まる」と考え、国内はもちろんアメリカでも代理店を通さず直販にこだわっている。「現場で直接対話する中で出てくる声がまた次の新たな機械の開発のヒントにもなる」と宅見氏。

若返り機に強みを再確認し次代へつなぐ

近年、技術者の世代交代が進んだことを契機に今取り組んでいるのが「自社の強みを見直すこと」だ。「繰り返し精度」の実現こそが顧客の信頼を握るカギと位置付け、あらためて土台、フレームの構造、機構一つひとつについて、高精度を実現する要素をピックアップして検証。「だれもが理解できるように言葉として形式知化したうえで強みの源泉を確認し、磨けるところはさらに磨いていく」。その作業は、ばね成形で培った技術を、他の分野へと応用していくための布石でもある。

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▲繰り返し精度を実現するために、現場の一つひとつの作業を社員で検証し改善を重ねる。

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▲「三次元移動ユニット」。こうした多軸制御で精密なばねづくりを可能にしている。

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▲【技術力研鑽の極意】「自社の技術の強みを徹底的に掘り下げることでより高みをめざす」(宅見隆社長)

2012年11月10日
シンコーマシンツール株式会社
代表取締役  
宅見 隆氏

設立/1967年 資本金/4,000万円(新興機械工業との連結) 従業員数/40名(連結)
事業内容/金属ばね加工機械の設計・開発・製造・販売。ばね製造メーカー(国内700社、海外29ケ国100社)に納めている。輸出比率は約3割。

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