【ロングインタビュー】絶対的な安定はない。なにがなんでもつぶれない会社に。
>>> これまで手がけてこられた医療業界と飲食業界とでは仕事の内容も違うし、アプローチ方法も違う。戸惑いはなかったですか。
治験は、行政に決められた基準やルールをいかにきっちりとこなすかが問われ、まじめに淡々とやることがが求められる業界です。そこでルールに縛られず、柔軟な発想が求められる飲食業界で挑戦したいという気持ちが強くなり、事業をスタートしました。ですので、戸惑いはありませんでした。ただし治験の業界とは働き方、意識がだいぶ異なるので 別に会社を立ち上げました。飲食業界で経験の豊富な方を採用し、どんな商品を開発し、どんな場所にどんな店舗を構えるかを考えてきました。
>>> カレーやジュースなど商品の幅はどんどん広がっています。商品のアイデアは誰が考えているのですか。
アイデアやコンセプトは私が考えていますが、具体的な商品開発は管理栄養士たちに任せています。たとえば、今あるカレーショップは女性1人ではなかなか入りにくいでしょう。そこで女性が1人でも入りやすいカレーショップを私が考えました。ショップでどんなメニューを出すかは管理栄養士たちがやってくれています 。私は自由な発想が出る雰囲気づくりを心がけていて、「ああしろ、こうしろ」とはほとんど言うことはありません。こういう商品を出したいというアイデアが出てきたら、「やってみたら?」というスタンスです。8月にはJR大阪駅の商業施設ルクアにスムージー専門店もオープンしました。これから積極的に店舗は増やしていきます。ジューススタンドなら各駅にあってもおかしくないし、カレーショップであればターミナルに2、3ヵ所あってもいいと思います。
今、力を入れているのが冷凍弁当です。工場で作ったお弁当を冷凍にし、それを1、2週間分まとめて注文をいただき配達する方法で利用しやすいビジネスモデルを考えました。透析患者や末期のがん患者、高齢でかむ力が弱くなった方などに対し、それぞれの状態に併せた食事を提供できるよう管理栄養士たちが献立を開発してくれています。
>>> 若者たちにメッセージを
人に迷惑をかけるなとは言いません。むしろ、若いときは迷惑をかけたらいい。でも迷惑をかけても笑って許してもらえるような関係を周囲と築く努力はするようにと伝えたいですね。
(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)