【ビジネスチャンス倍増プロジェクト】他分野での応用開発につながり、マッチングに手ごたえ
企業同士のマッチングは、商品化につながって売れた、ということだけが必ずしもゴールとは限らない。IMVのマッチング事例もそのようなケースの一つだ。
大阪市内のガスや水道事業分野で技術開発や研究で多くの実績を持つ新和産業から「太陽光発電用ソーラーパネルの診断機器を開発したい。メーカーを探している」とマッチングナビゲーターに連絡が入ったのが2010年夏のこと。新和産業は、取引のあるガス会社が太陽光発電事業も手掛けており、他社と差別化できるサービスを行うための機器開発を求められていた。
ナビゲーターの頭にマッチング先としてすぐに浮かんだのがIMV。振動シミュレーションシステムでトップクラスの実績を持ち、各種計測機器の開発も手掛けていたからだ。
IMVは、電圧をかけた際の放電度合で性能を評価できる部分放電試験器をリチウムイオン電池向けに開発していた。「ちょうど他分野に展開できないかと考えていたところ。タイミングがよかった」。両社面談ですぐに共同開発の方向性がまとまり、開発がスタートした。
「ソーラーパネルを使って評価試験をするには良品、不良品のパネルをそろえて評価する必要がある。だが、これまで太陽光発電の関連業者との取引がなく、パネルを入手しようにもできない。共同開発でそれが可能になった」と話す。
共同開発の結果、同様の手法で評価できることがわかったが、実用化が今後の開発テーマ。ハンディタイプで簡単に診断できるようにするためには、低価格、小型化、かつ安全性の高い製品の量産化という技術課題がまだ残っている。クリアすべきハードルは高いが、「うちが持つ技術を他分野に展開するためには、マーケットを持つ企業と連携すれば道が開けることに気づけたことは大きな収穫」と語る。
今後も、市場の成長性を見据えた上で、自社の技術と他社が持つマーケットを掛け合わせることも視野に入れた「ものづくり」に挑戦していく考えだという。
▲大阪産業創造館 ナビゲーター 海陸 力(左)、IMV株式会社 代表取締役社長 岡本 二朗氏(右)
IMV株式会社
代表取締役社長
岡本 二朗氏
設立/1957年 従業員数/220名 事業内容/振動シミュレーションシステムのほか、地震監視装置をはじめとする各種計測・評価装置の開発、製造、販売、修理・保守サービス、各種試験の受託、解析サービスを展開。