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多額投資後に景気急落で経営暗転 逆境ばねに社内改革にまい進

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時代の変化が読みにくい今、経営者にとって多額な設備投資の決断は常に賭けを伴う。社長になって4年目。坂元氏にとって2期連続赤字が続いた2002年に5,000万円のプラズマ切断機を導入したときがまさにそれだった。それまでの2年間、この機械については徹底的に研究して熟考を重ねたが、「最後は、えいやっだった」という。この決断に女神は微笑んだ。

日本経済はいざなぎ超え景気に突入し、プラズマ切断機はフル稼働。2003年以降、売上、利益が拡大し6期連続で黒字を計上した。順風が続けば欲が出てくる。「熔断屋にとって夢の機械であるレーザー切断機をなんとしても導入したいと思った。絶好調で不安はなかった。」と当時を振り返る。隣接地を購入し、新工場建設に踏み切った。この切断機の導入は業界では後発になるため、最新鋭の装置を選択。投資額は1億円(工場建設費を含めて2億5,000万円)に跳ね上がったが、プラズマ切断機の時とは違い「全然こわくなかった」。

購入した、その月にリーマン・ショックが襲った。大学卒業後「自分を試したい」と家業を継ぐことは考えず、憧れていた新聞記者になった。だが、好きなようにさせてくれた優しい父ががんを患い、28歳で家業に戻る決意をする。その後、父はあっけなく逝き、社長を継いだ。「入社1年生でいきなり経営者」になって以降、社員の支えもあり浮沈をなんとか乗り越えてきたが、今度ばかりは様相が違った。

リーマン・ショック後の受注激減と在庫で持っていた鋼材の相場暴落で6期分の利益が飛び、多額の借金が残った。「それまでやってこられたのは父が財産や人材を遺してくれていたからこそ。確かに人の何倍も働いた自負はあったが、『経営』はまったくしてこなかったことに気づいた」。その後、社内改革と自己改革を同時に進めるべく社外の勉強会に積極的に参加。朝礼、学習会、週刊新聞の発行、月給袋にメッセージを入れるなど社員の気持ちを束ねることに注力した。一方でそれまでまったく取り組んでこなかった新規取引先の開拓に自ら奔走。良質な素材と短納期で「価格では妥協しない」営業を確立、収益構造も好転しつつある。

「小さな会社でもな、社員と家族を含めたら何十人がメシを食ってるんや」。かつて父がぼそっとつぶやいた言葉の重みを今実感している。「設立100周年まであと40年。それをしっかり見届けるのが目標」とじっくり腰を据えて今後も体質強化に取り組んでいく。

 

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▲「楽は苦の種。苦は楽の種」
「創業者は祖父ですが、むしろ祖父をたきつけ事業欲に満ち、経営のセンスがあったのが祖母のほうでした。幼い頃からその祖母から繰り返し聞いたのがこの言葉です。社長になって以来、大きな波に幾度かぶつかってきましたが、逆境こそが自分を成長させてくれたと感謝しています」。

2012年10月14日
坂元鋼材株式会社
代表取締役  
坂元 正三氏

設立/1952年 従業員数/14名
事業内容/レーザー、プラズマ、ガスの切断装置をそろえ、極厚板から薄板まであらゆる鋼板の熔断加工を手がける。国産の良質素材を常時在庫でそろえ、短納期で対応できることが強みだ。

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