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大手依存の商売に翻弄いくたび 日本製子ども服ブランドでパリに進出

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「大変やから手伝ってくれへんか」。両親からのSOSの発信で、家業のふじやに呼ばれたのはアパレルメーカーに勤務していた23歳の時のこと。バブル期に購入した社屋の返済負担にあえいでいたところへ、売上のほぼすべてを頼っていたOEM供給先の子ども服メーカーが発注を半分に減らしてきたのだった。経理担当のベテラン社員が口にする「来月にはつぶれるわ」という言葉をばねにしながら自分で企画したサンプルを持ち込み、新たな販売先探しに奔走した。「両親が手塩にかけて育ててきた会社。何とか助けなあかんと。それだけやった」と、無給で働き続けた当時を柳樂氏は振り返る。

その熱心な姿がある大手ベビー用品店の担当者の目に留まった。少ない数だったが、店頭に置いたところ好評で売り場がどんどん広がった。担当者が本社の商品本部に移り、全国の店舗で扱ってもらえるようになった。しかしその大手ベビー用品店の業績が悪くなり、組織が変わり方針も変わった。全売上高の90%にまで膨らんでいた同社との取引が2年でゼロになった。「結局同じことを繰り返していた」。

運よく、新たに大手衣料チェーンとの取引が始まったが、「いつまでも大手に振り回されるような商売の仕方ではいけない」と、メイドインジャパンにこだわった子ども服ブランド「WHIP CREAM(ホイップクリーム)」を立ち上げた。当時は社長に就任した時期。あらためて会社のあるべき姿を考え抜き「日本製の子ども服の良さを世界の人に知ってもらい世界の子どもたちを幸せにしたい」と志を立てた。

パリで子ども服の展示会があるとの情報を聞きつけ、すぐに現地に飛び、出展にこぎつけた。日本製の素材ならではの優しく柔らかい風合いや色使いが評価を受け、パリの有名ショップで扱われるようになった。パリでの実績が追い風となり、現在はアジアや中東にも取引先を増やしている。

海外での実績を武器に国内では地道な個人店回りが続く。大手向けの営業と違って、相手の顔色を伺う商売はしなくていい。店側の判断も速い。少子化が進み子ども服業界を取り巻く環境は厳しくなる一方だが、柳樂氏の表情に悲壮感はない。
「入社したときのことを思えば、あれ以上悪くなることはないだろうと開き直れる」。もはや世界マーケットを見据える男の腹は据わっている。

 

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▲「塞翁が馬」
「OEMにしても大手ベビー用品店との取引にしても一時は仕事が増えて業績に寄与しましたが、そのことがいつ悪い方に転ぶかわからないということを肌で実感してきました。だからこそ目の前のことに一喜一憂するのではなく、『子供たちの幸せの輪を世界に広げていく』という思いに対しぶれずにこだわっていく大切さを感じています」。

2012年10月10日
株式会社ふじや
代表取締役  
柳樂 昌義 氏

設立/1990年 従業員数/10名
事業内容/ベビー、子供服製造卸。企画開発品を量販店などに卸している。素材にこだわったシンプルなデザインの子ども服ブランド「WH IP CREAM 」の製品はほとんどを島根県の工場で生産している。

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