産経関西/産創館広場

地域に愛されるお菓子「愛菓子」を全国に発信

2014.01.13

地域に愛されるお菓子「愛(まな)菓子」を全国に卸している正氣屋(まさきや)製菓株式会社(大阪市阿倍野区)。同社では日本全国各地で年齢や性別に関係なく愛されてきたお菓子のことを「愛菓子」と呼んでいるのだ。

安井栄一社長は自らを「愛菓子案内人」と名乗る。「お菓子が目の前にあって怒る人はいない。みな幸せな気分になる。笑顔・絆・縁づくりができるのがお菓子の魅力だ。世の中には、大手メーカーのように派手なテレビ宣伝やマーケティングはしていないけれど、地元の人たちに愛されてきたお菓子がたくさんある。そのお菓子を全国の舞台に立たせるのが自分の役目だ」と語る。

安井氏が社長に就いたのは10年前。当時は大手メーカーのお菓子も取り扱っていたが、規模の大きさに左右される仕入れ量による価格勝負では負けてしまう。そこで他の卸業者との差別化を図るため、地域で売れているお菓子にこだわるようになった。現在では47都道府県すべてのメーカー約600社と取引があり、さらに月に3社は新規の取引先を開拓している。これを支えているのは、同社独自の「増客」という考え方だ。

5年ほど前、2期連続で赤字の時期があった。経営者として失格だと心が折れそうになったときに出会ったのが、京セラ創業者の稲盛和夫氏の著書「不況を乗り切る5つの方策」だった。書かれていた「全員で営業する」「新製品開発に全力をつくす」「原価を徹底的に引き下げる」「高い生産性を維持する」「良好な人間関係を築く」を自社に置き換え、たどり着いたのが「増客」というキーワードだった。取引先、仕入れ先を増やす行動はもちろん、事務職であってもコストを下げるような改善はその経費を営業に生かすこともできるので、増客につながる。すべての業務改善が増客につながるとして、全社一丸で取り組んでいる。

今後は海外展開やネット販路の拡大、および業務用OEM製造を視野に入れている。「仕入れ先と販売先を全国各所に持つ強みを世界へと広げていきたい。あらゆる面で増客を続ける限り、人も会社も成長することができる」と安井氏は確信している。

(大阪産業創造館 プランナー 齋藤考宏)

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▲地域で愛されている「愛菓子」を持つ安井栄一社長。海外展開も考えている

正氣屋製菓株式会社

http://www.masaki-ya.co.jp/