Bplatz press

食品から樹脂まで、さまざまな「機能性」を付加するイオン化技術

2013.11.08

銀なら抗菌、銅なら熱伝導、チタンは光触媒というように金属元素にはそれぞれ特性がある。イオテックの“イオン化技術”は食品や樹脂などあらゆる物体にその金属元素をイオン化して付加し、素材に新しい機能を演出させる。

繊維にアルミやマグネシウムを練り込んで、放熱しやすい冷感素材に仕立てたり、ヒアルロン酸をイオン化して肌から直接塗り込める化粧品へ応用したところ、テレビ通販で記録的な販売を上げるなど数多くの技術供与を行っている。

iotec_s

人体に必要なカルシウム、マグネシウム、亜鉛などの金属元素は水に溶けないため体に吸収されにくい性質を持つ。しかし我々の体内では腸内有用菌によってナノ以下にイオン化された原子にまで分解され、ようやく体内に消化吸収されるようになるのだという。
この、腸内有用菌の働きを人工的に再現したのがイオン化技術だ。金属物質を粉状にした後、麹菌等を使って発酵させ、原子の状態にまで分解しイオン化する。

平光氏はもともと大学等の保有する技術を民間企業に転用して事業化する技術移転機関で働いていた。その時に金属をイオン化する技術に出会った。平光氏は「当初は栄養学の研究者が吸収力を高めるため食品加工用に開発した技術でしたが、金属をイオン化できるコア技術があれば応用範囲は非常に広いと確信した。しがみついてでも自分がビジネスにしようと思った」という。さっそく研究者に弟子入りし、まず教えを乞うたのはイオン化するまでの理論。「イオンやナノという言葉を使ったり、化学式で説明しようとすると、うさん臭い目で見られがち。化学が苦手だった私でもわかるようにメカニズムをしっかり説明してもらい、だれにでもわかりやすい言葉を使って伝えるように心がけた」と振り返る。

元素ごとに機能やコストを考え自由に組み合わせられるのもイオテックの強みだ。それぞれの元素が持つ特性は幅広く展開できるため、どのような製品にどのようなイオン原子が応用できるかマトリックスにまとめた。「技術はそのままでは普及しない。出口を考え、どうすれば目的の素材で実際に使えるか、多くの企業と連携しながらヒントを獲得していった」と平光氏。

イオン化した液そのものを売ることはせず、相手が求める機能を聞き、元素の組み合わせを考えて専用液を作製。その上でテストしてもらい、効果を確認してもらった上で技術供与していくスタイルをとることで信頼を得ていった。

当初は食品加工用にカルシウムやマグネシウムをイオン化するところからスタートした同社だが、「イオンが活躍する場はまだまだ広い」と新たな出口の開拓に余念がない。

 

iotec_1

▲美容大国ロシアのブランドで現在18カ国に販売されているイオン化技術を取り入れたスキンケア商品。

iotec_2

▲金属イオンが溶け込んだ液体。その元素自身がもつ色が現れる。

iotec_3

▲金属イオンをプラスチックに結合させたサンプル。さまざまな機能を持つプラスチックや化学繊維をつくり出す。

iotec_g

 

株式会社イオテック

代表取締役

平光 彰氏

http://www.ionizetech.com/

設立/2002年
資本金/1,000万円
従業員数/8名
事業内容/人体の消化吸収メカニズムをもとに再現した金属元素のイオン化技術をもとに、金属の特性を素材に付加する事業を展開。その応用先は食品、化粧品、繊維、樹脂、金属まで幅広い。