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原糸のトップブランド 80ヶ国以上に広がる技術とノウハウ

2013.11.08

モノフィラメント(ナイロンやポリエステルなどでつくられる糸)の国内最大手メーカー「ユニプラス」の技術力を支えるのは、グループ全体での開発体制にある。グループの内訳は、本社機能&営業企画部門のユニプラス、モノフィラメント製造開発部門のユニプラス滋賀、機械製造開発部門のユニプラス機械の3社。この各部門が連携することで、顧客ニーズに応じた製品を一貫体制のもとで開発できるのだ。

とりわけ特長的なのは、製造部門を持つと同時に、その製造で使う装置自体も自社で開発している点。通常、メーカーは機械設備を外部調達するため、その環境で対応できない製品の開発は難しい。「その点、当社はお客さんの要求に応える製品をつくるため、装置の開発からすべて自社内で対応できるんです」と生嶋氏は自負する。

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技術力を支えるもう一つの要因は、原材料の研究開発力だ。モノフィラメントなどの化学繊維は、原材料をどの割合で調合するかで品質が大きく変わる。

たとえば同社が国内トップシェアを誇る釣糸の場合、強度と透明度の向上が求められる。どの原材料を使い、どの添加剤を何%の割合で付加すれば、品質がどう変わるか…そのノウハウが不可欠だ。

同社の場合、原糸のトップシェアメーカーとして長年培ってきた知識と経験があり、また世界各国の石油化学メーカーとのタイアップで原材料の研究開発に力を入れてきた。「だからこそ市場ニーズに対応し、競争力のある製品を開発し続けられるんです」と強調する。

設立当初から東南アジアを始めとした世界各国に産業用機械を輸出し、いまでは欧米からアジア、アフリカ、北欧、ロシア、南米まで世界中に数百社以上のネットワークがある。

なかでも途上国には機械設備と原材料の輸出とともに、製造ノウハウも提供して現地の発展を支えてきた。「長年にわたり築いてきた各国企業との強い人脈を活用し、世界を相手に商売するのがうちの基本スタンス」と身を乗り出す。

海外企業との共同開発にも力を入れる。たとえばアメリカのデュポン社との共同開発でトウモロコシを原料とする車のフロアマットを開発し、ハイブリッドカーに採用された。

あるいは現地生産にも乗り出す。現在、合成繊維の世界市場は高品質製品と低価格製品の二極化が進む。安価でマーケットがすでに海外に移っている製品は、海外で製造・販売したほうが競争力があり、為替の影響も受けない。「すでにインドネシア最大手釣具メーカーとの合弁工場で製品を製造するなど、低価格帯の製品は海外で製造・販売し、高付加価値の製品は日本で製造して海外に輸出するなどのすみ分けを始めています」。

経営環境が目まぐるしく変わる現在。新製品を開発しても、すぐ後発企業が類似品を出してくる。「だからこそ常に技術を研鑽し、新たな製品を開発し続けなければならない」。いわばトップメーカーの宿命といえるだろう。

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▲漁業用の網や各種の釣糸を始め、自動車や業務用のカーペット、人工芝、歯ブラシなどに使われるモノフィラメント。

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▲グループ会社の「ユニプラス滋賀」では主に国内市場のニーズに応じた製品を開発・製造する。「ユニプラス機械」の原糸製造機械を用いた充実した生産ラインを持つ。

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▲室内・車両用カーペット、玄関マットなど幅広く展開。

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ユニプラス株式会社

代表取締役社長

生嶋 孝則氏

http://www.uniplas.co.jp/

設立/1963年
資本金/2,000万円
従業員数/28名
事業内容/合成繊維の製造、産業資材製造機械の製作を別会社で展開。販売の最前線に立つ営業社員が市場のニーズを探り出し、新製品を企画。これを製造部門が原材料の研究も含めて製品化している。