「だし巻き」「たこやき」など約300種類の缶詰が楽しめるバーを展開
全面ガラス張りのリバービューが魅力の複合飲食施設、キャナルテラス堀江にある「mr.kanso (ミスターカンソ)」本店。壁一面に陳列された約300種類の缶詰から好みのアテを選び、カウンターでお酒を頼んだら、その場で精算するキャッシュオンスタイル。一人でもグループでも気軽に利用できる、缶詰とお酒が楽しめるお店だ。
「mr.kanso」を運営するのはクリーン・ブラザーズグループの4人兄弟。長男が社長、次男は専務、三男が広報、四男は総務などを務める。創業者で現会長でもある4人兄弟の父は、商業ビルの掃除を対価にアーティスト達の活動を支援する団体をつくるなど、多彩な取り組みを行なってきたアーティスト兼実業家である。
2002年、キャナルテラス堀江が建設される前の空き地で「2年間だけ飲食店を開いてほしい」と父に声がかかったのが、缶詰バー「mr.kanso」のはじまりだ。ドラム缶を利用した小屋のような1号店は話題を集め、完成したキャナルテラス堀江へ出店。その後、フランチャイズ店の募集と直営店の出店を開始し、現在は日本各地と香港・台湾に約35店舗を展開している。
「mr.kanso」はオリジナル缶詰の開発・販売にも力を入れており、その責任者を務めるのが三男の三知夫氏である。「店舗増加に伴って物流を担うグループ会社を立ち上げるときに手を挙げたんですが、いつのまにかオリジナル缶詰を企画・開発する食品メーカーになっていました」。
最初のオリジナル缶詰は「だし巻き」。京都の老舗・吉田喜とコラボしたこの商品がメディアに取り上げられて注目され、スーパーや小売店へ年間10万個出荷する人気No.1商品になった。そのほか、大阪名物の「たこやき」「お好み焼き」、米クラフトビールメーカーと共同開発した「GRILLED CHICKEN骨付鳥スパイス焼き」、本格中華の「青椒肉絲」「八宝菜」など、ユニークなオリジナル商品を続々と開発。
しかし、「商品化するまでに、だし巻きは1年以上、たこやきは3年かかっています。原材料によっては、加熱工程で形状や食感を保つことが難しいため、試行錯誤の繰り返しです」と打ち明ける三知夫氏。とはいえ、社内の新商品への期待は高い。各店舗やWeb販売サイトに国内外の選りすぐり缶詰を揃えるために、多種多様な缶詰をチェックできる環境を生かして新商品研究に励んでいる。
「うちにしかできない挑戦的で、かつトレンドを押さえた、おいしい商品を開発することで缶詰の可能性を切り拓きたい。そして、缶詰の新しい魅力を世界各地に発信していきたいですね」。
(取材・文/花谷知子 写真/三原李恵)
クリーン・ブラザーズ株式会社
取締役 CBグループ広報部 部長
川端 三知夫氏
事業内容/缶詰バーmr.kansoの運営、缶詰の商品開発・販売、店舗内装工事など