ラジコン用エンジン開発85年の職人達が突き進むその先は 無人航空機業界へ挑む開発型企業【前編】
専用の車だって!?ラジコン飛行機を輸送するためのクルマ!?なんてカッコいいライフスタイルなんだ。まさに私の理想の人生像。
宮田さん「飛行機の競技も毎年傾向があって、このエンジンで勝利した年はパワー(馬力)が必要な時でした。それまでは2サイクルだったんですけどね。競技内容等が変わりトルクフルな4サイクル(※)になったんです」。
※4サイクルとか2サイクルってのは、あれです。エンジンの燃料を燃焼する方式(タイプ)の違いで、最近の車のエンジンはすべて4サイクル。2サイクルは昔のスクーターなんかがそうです。実際のプロペラ機も4サイクルエンジンなので、本物に近い音がユーザーに人気なのだそう。この4サイクルエンジンの市場を作ったのも小川精機。実は4サイクルエンジンも、当時は模型用なんて他の誰も作っておらず、社内でひっそりと開発を続けていた方がいたおかげで、なんとか製品化にこぎつけられたそう。エンジンの先駆者や、すごすぎる。
お二人が言うには、飛行機のラジコンであっても日本では「道楽」とか「遊び」という認識が強いそう。しかし世界大会はFAI(国際航空連盟)という本物の航空機のアクロバットスポーツを統括する団体が行っていたり、ラジコンであっても「航空機のスポーツ」と捉えられているとのこと。
やはり日本は自動車競技やラジコン競技も遊びと思われているんです。
く…くやしい……くやしいです!!!
そんな熱い僕の想いは置いておくとして、小川精機さんのエンジンは海外にも販売されているのか聞いてみた。
すると、なんとマーケットの70%は海外とのこと。
日本の市場は小さく、国内にラジコン関係のメーカーは沢山あるのにその使用先はほとんど海外。やはり日本では気軽に飛行機は飛ばせないし、クルマのラジコンでもエンジン付きのものを走らせていると危ないと思われるそう。昔は藤井寺球場や八尾空港でも飛行機を飛ばしていたとか。難しい時代になったもんだなあ……。
では、海外への輸出が伸びている要因ってなんなんでしょうか。
「精度的や品質的に日本のラジコンは、非常にレベルが高いんです。そのせいかな。海外と違うには、やはり日本メーカーの『探求心』じゃないんでしょうか。勝つまでやる、というものづくりの精神だと思っています。レースで勝つためのものは全社あげてギリギリの所を攻める。そんな探求心が活路を見出しているんです」。
価格でも量でもなく、技術でお客様を勝ち取る。猛烈にカッコいいな。
>>>ラジコン用エンジン開発85年の職人達が突き進むその先は 無人航空機業界へ挑む開発型企業【後編】に続く
(取材・文/大阪産業創造館ものづくり支援チーム プランナー 江口幸太)
大阪産業創造館ものづくり支援チーム プランナー 江口幸太
東京都出身。3代続く江戸っ子。クルマが大好きで二級整備士資格を持つ機械マニアなプランナー。 愛してやまない製造業の支援を担当する。ものづくりの観点から大阪のホビーやクルマに関するコラムを執筆中。「漢のロマン」を追い求め、日々大阪を奔走する。