唯一無二の技術力で受注を呼び込む


 
1980年に創業し、現在は一眼レフカメラを構成するプラスチック製品の金型製造を主としている株式会社双信。プラスチック射出成形品の量産までを手掛けている。

 
カメラは精密光学機器であるため高度な精度が必要であり、複雑微細形状に応えることが要求されているが、「一見不可能と思われる形状でも、金型パーツの細分化や加工手順の工夫で求められる形状を忠実に再現できる」と小嶋氏。

知恵の使いどころは製造プロセスだけではない。プラスチック製品の成形は、樹脂を高温で溶かし、金型に流し込み冷やし固めることで行う。この時、流し込む樹脂の流路である「ランナー」が毎回捨てられることになるのだが、ランナー部の樹脂を温め続けるホットランナーという機構を用いることで、廃棄量を削減することができる。

反対に速やかに凝固させるためにエアー冷却装置なども加えて設計を行い、プラスチック製品の成形に要する時間を短くすることで量産性を高めている。「プラスチック製品ごとに求められる特性は異なるため、こういったことを踏まえて工夫を行っています」。

 
こうした金型製造における技術力が評価され、あるメーカーからおよそ直径0.1mmという微細加工の依頼や、円筒に加工する際の真円度0.5μmを満たす加工の依頼が入った。前者は、肉眼でも視認するのが難しい、髪の毛ほどの細いワイヤー線を使った放電加工を駆使する。また、後者については、高精度な位置決めができ、円形の砥石を回転させて対象物を磨く治具研削盤を使う。さらにこうした加工の精度を証明できる測定器を併せ持つことでメーカーからの要求をワンストップで実現し、信頼を獲得している。

 

 
周囲に町工場がひしめく東大阪エリアの一帯で同社の本社ビルはおよそ工場がそこに入っているとは思えないほど洒脱な外観を呈している。中には、CADCAMを備えた設計部門から金型の製造部門、射出成形品の生産部門、そして測定、検査部門までが入っている。

3年前に隣接する土地に増築した工場にはビリヤード台やゆったりとしたソファを設けたおしゃれなリラクゼーションルームがあり、「製造現場で働く社員の平均年齢は30代を維持できている」という。

 

おしゃれなリラクゼーションルーム。

 
最近、極小径の穴を開ける同社の技術力を聞きつけたある通信機器部品メーカーから部品加工の依頼の話が舞い込んできた。「5G時代の通信に欠かせない部品の加工で、日本全国を見渡しても当社にしかできない加工だと思っている」と小嶋氏。

唯一無二の技術力を武器に、現在主力のカメラ部品に加え、今後大いに成長が見込まれる通信機器部品を今後新たな柱として育てていきたいと考えている。

 

業務改革本部長 小嶋資久氏

 
(取材・文/山口裕史)

2021年10月21日
株式会社双信
業務改革本部長  
小嶋 資久氏
事業内容/プラスチック製品の金型製造、射出成形加工

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