価格競争超越へ独自パッケージ
オーダーメードでオリジナルのパッケージが作れるネットショップ。今では多くの企業が参入しているが、その先駆けとなったのが山元紙包装社(やまもとかみほうそうしゃ)=大阪市都島区=だ。「これからはインターネット」とのアメリカ帰りの知人の言葉をきっかけに、2代目となる山元(やまもと)久良社長がサイトを立ち上げたのは1997年。固定客からの注文を受ける「待ち」の営業から脱却すべく、新規開拓に奔走。大阪産業創造館の経営相談や営業戦略の勉強会などを活用しながら社内体制を固めた。
全社員が苦労しながらパソコンを習得し、かかってきた電話対応のマナー研修からスタートした。これまでに2万件以上の問い合わせ実績を持つ。
同社の特長はパッケージであれば、箱、紙袋、ポリ袋、エコバッグなど、どんな素材にも対応できること。ファブレスなので工場の稼働率を気にせず、顧客ニーズに対応することができる。
一方、多品種であるがゆえに営業担当者には膨大な商品知識が求められる。また、個人や自営業など、パッケージに詳しくない遠方の顧客が多いため、電話やメールを介しての丁寧な対応も必要だ。同社では、新人と先輩が二人三脚で、素材について一つずつノウハウを積み重ねる教育体制を取っているほか、外部講師を招いた営業研修を定期的に行っている。教育に時間と費用はかかるが、スタッフの対応力を評価する顧客の声は多く、リピート受注につながっている。
しかし同社はいま、「第二の転換期」を迎えている。単一の低価格商品を売りにした企業の参入が増え、パッケージ業界においても価格競争が激しくなってきたからだ。ただ、同社には既製品では飽き足らないこだわりのショップなどからの注文が増えている。そういった顧客は、パッケージを自店舗のブランドを高めるツールと位置づけており、価格重視ではないケースが多い。
今後さらに、顧客の二極化が進むことが予想される中、同社は「パッケージをトータル提案できる」という自社のポジショニングを再設定し、価格競争に巻き込まれない戦略を取る方向だ。
(大阪産業創造館 プランナー 徳中絵美)
▲製品をPRする山元紙包装社の山元久良社長。何十社もの協力工場と実績を活用し、顧客ニーズに素早く対応している
株式会社山元紙包装社