立ち止まりそうになった時、創業時のパッションを思い出させてくれる相棒
大阪産業創造館プランナー 中尾 碧がお届けする
社長だって一人の人間、しんどい時もあります。そんな時にモチベーションの支えとなり、「一緒に頑張っていこな!」と声をかけたい“人”または“モノ”がきっとあるはずです。当コラムでは社長のそんな“相棒”にクローズアップ。普段はなかなか言葉にできない相棒に対するエピソードや想いをお伺いしました。
【 vol.7 】株式会社アイ・トライブ~立ち止まりそうになった時、創業時のパッションを思い出させてくれる相棒
皆さんの会社のロゴマークにはどんな意味が込められているだろうか。また自社の価値観を表そうとロゴマークを決めるにあたって時間をかけた経営者も多いだろう。
株式会社アイ・トライブ代表の三木氏にとって、創業時に決めたロゴマークは今でもかけがえのない相棒だ。
同社はデザインコンサルティングを行う会社。具体的にはサービス・製品を作成・開発する前段階のコンセプトを顧客と一緒に考えながら整理して明確化し、ビジネスモデルやユーザーインターフェース(以下UI)の提案を行う。
これまで大手電機メーカーの介護施設向け見守りサービスのUIデザインや有名スポーツ選手が経営する会社のブランディングなど着実に実績を積んできた。
前職のアプリ開発の会社では営業を担当していた三木氏。そこでは「こういったサービスを作って欲しい」という顧客の具体的な要望をデザイン、開発をして製品などで形にする仕事だった。
しかし実際にはデザイン制作の川上にある「何を作ればいいのかわからない」という段階から悩む顧客が多かった。顧客は何をデザイナーに求めているのかを考えると、視点を整理する力が欲しいのでは、という仮説に行き着いた。
製品デザインの会社はたくさんあったが、前段階の顧客の要望・想いを整理して明確にする会社は業界を見渡しても無く、当時勤めていた会社でも実現は難しかった。
そこで2014年にデザイン=ビジュアルという業界の常識を変えるため、同僚のデザイナーと二人で同社を立ち上げた。
同社のロゴマークは植物の葦。社名である「i-tribe(アイ・トライブ)」の「i」は、実は古代文字では葦があてられていた。
「i」にはアイデア、イマジネーションといった同社が大切にしているコンセプトを含んでおり、「tribe=種族」も既成概念にとらわれず、リスクをとってもチャレンジし続ける人が集まる少数精鋭の組織というイメージで使うことにした。
メンバーと徹底的に意見を交わして決めたロゴマークには、創業時の情熱と仕事への決意が詰まっている。相手が受け取った時にロゴマークへちょうど親指がかかるように配置するなど名刺にもこだわりが見える。
今年の8月で創業して丸5年がたった。今でもロゴマークは三木氏にとって、迷ったときに見つめることで会社の原点を思い起こさせる存在だ。
これまで受託業務をメインに事業を行ってきた同社だが、自社開発の英語学習ツール「マッチッチ」を新たにリリースした。同サービスは海外進出という夢に向けての新たな挑戦である。
葦を使った有名な言葉と言えば「人は考える葦である」だろう。葦を意味するロゴマークをかかげ、「自分たちは何のために、どんな人と仕事をしたいのか?」を常に考え続け、同社はこれからも前に進む。
(取材・文/大阪産業創造館マネジメント支援チーム プランナー 中尾 碧)