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工業用化学品で培ったノウハウを市販品にも展開

2019.09.27


創業の地は現在も工場がある愛媛県四国中央市川之江町。繊維産業と製紙業とが集積するエリアで、紡績用油剤や染色助剤、紙パルプの製造過程で使用される工程洗浄剤や粘着異物対策のピッチコントロール剤など工場向けで使われる化学品専業メーカーとして90年近い歴史を刻んできた。

 
なかでも製紙業向けの洗浄剤では国内トップシェアを誇る。ひと口に洗浄剤といっても木材からパルプを経て紙になるまでの汚れの原因は「木材中の油脂や樹脂分、古紙中のインキや接着剤、カルシウムやシリカなどの無機物」とさまざまで、一つの工程で使われる洗浄剤は多ければ10種類を超えるという。

洗浄剤は、汚れの原因物質に対して、効率良く洗い落とす、汚れの付着を防止する、の両面から商品設計が行われる。近年は紙の付加価値を向上するための保湿柔軟剤や消臭剤などの機能性加工剤も開発し、提供している。

まさに製紙業界のニーズを解決するオールラウンドプレーヤーだ。

高槻本社工場と工場内部


 
こうした商品力を支えているのが全社員80人の半数弱を占めるという開発部員。「その多くが営業担当も兼ねており、顧客の困りごとをその場で解決するとともに、新たなニーズを次の商品開発に生かしている」と下山氏。

同社は2016年に、長年の業界への貢献に対し製紙業界のノーベル賞ともいわれる佐々木賞を受賞している。

本社工場を拠点に薬品の研究・開発を行っている。


 
これまでのノウハウの蓄積を生かしさまざまな製品が生み出されている。シリコーン樹脂の溶解剤もその一つ。シリコーンは、建築用のシーリング材や、電子基板、LEDなどの絶縁材などとして幅広く使われているが、硬化反応により樹脂化したものは、はがすのに相当な苦労が伴う。

これを簡単に溶かしてしまうのが同社のシリコーン溶解剤だ。「シリコーン樹脂が溶解できるわけがないと思っている人が依然多く、市場はまだまだ伸びる」と期待を寄せる。


 
工業用で大量に安価にかつ厳しい品質で多種多様な化学品を製造してきたノウハウを今後はBtoCでも生かしていくという同社。

すでに洗濯用洗剤・柔軟剤、消臭剤、抗菌剤など、通信販売やホームセンター・ドラッグストア向けなどのPB品として供給しているが、今後は自社ブランドとして日用品雑貨や化粧品などの最終製品を展開していくことも視野に入れる。

「一般家庭用品では使われていない多種多様な原料の知識、組み合わせのノウハウ、そして何より業務用で鍛えられた安価で付加価値の高い製品を製造するノウハウが市販品用でも生きる」と自信を見せる。

第二開発部課長 兼 研究部課長代理 下山竜吾氏

(取材・文/山口裕史)
 

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