Bplatz press

データから見えた事業承継対策の実態

2018.12.05

大阪産業創造館「事業承継なんでも相談所」では、無料相談や役立つフォーマットなどさまざまなサービス・コンテンツのご提供を行っております。ご利用状況から見える事業承継の実態の一部を紹介します。

現在までに利用された方のうち6割が経営者(継がせる側)、4割が後継(予定・候補)者です。そして経営者の年齢構成は〈図1〉のグラフで見るように、事業承継に意識の高い70歳以上が38%、60歳以上70歳未満が33%です。

後継者を決めているかどうかについて経営者の状況が〈図2〉です。70歳以上の67%が決めており、33%がまだ決めていない、候補者がいないということです。

そして、後継者を決めて本人や家族など関係者に伝えているのが半数程度、決めているがまだ伝えていない、自分だけがそう思っているという方も20%程度いることがわかっています。

その背景を知ることができるのが〈図3〉で、それによると経営者と後継者の間で日頃の会話、情報交換が密でないことに要因がありそうです。

次に引き継ぐべき事業の現況に対する経営者、後継者双方の認識が〈図4〉です。両者とも半数以上の人が将来に不安を感じているとのことです。それに対して経営計画を策定して、社内で共有化しているかについては、NOの割合が半数以上でした。

将来に向けて魅力ある事業を引き継ぐことが重要でありますが、そうした対策がとられていないということがわかり、事業承継のひとつの課題がそこにありそうです。

最後に事業承継で必ず話題となる「自社株対策」についてみてみましょう。

〈図5〉でわかるように経営者の60%以上が後継者の将来の持株比率を気にかけておられます。それに対し後継者は経営者に気にかけてもらっていると思っているかどうかの結果が〈図6〉です。

特に経営者の年齢が70歳以上である後継者の75%以上がそう思っていないのは少し気になるところで、これも〈図3〉の会話、情報交換と関連しそうです。

「事業承継なんでも相談所」では、簡単に現状がわかる「事業承継進捗度チェック」や、失敗事例や成功事例を紹介した「事例に学ぶ事業承継」など、貴社の事業承継の課題に気づきを得られるサービスもご提供しています。

興味を持たれた経営者や後継者の方はぜひご利用ください。

(取材・文/大阪産業創造館 田口光春)

大阪産業創造館「事業承継なんでも相談所」相談員 田口 光春
岐阜県出身。大学卒業後、大阪中小企業投資育成株式会社にて32年勤務。
延べ500社以上の事業承継に接する。
休日は少年サッカーの審判をつとめ、夜更けは徳利片手に経営者への熱い思いを語る、頼れる事業承継相談員。