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「ビジネスにリスクはつきもの。リスクを最小限にするフレームワークをやれ!」

2018.10.09

起業家が起業家を支援する。岡隆宏氏がそのための組織を立ち上げた。日本スタートアップ支援協会。上場企業の経営者約50人が顧問として名を連ねる。「みな修羅場をくぐった優秀な経営者ばかり」。そんな起業家たちに支援を求め、多くの起業家予備軍が門を叩く。

岡氏自身も起業家である。「12回事業に失敗して、13回目に当たって上場した」夢展望株式会社の創業者。モバイル端末の可能性にいち早く着目し、若い女性向けファッションに特化した通販事業で急成長。2013年には東証マザーズに上場した。

大学在学中から学生ベンチャーで稼いでいた。卒業後には大手食品メーカーに就職するが、「可処分所得が半減してショックを受けた」。そのうえ「学閥に入ってなければ出世できない」事実を知り、入社後半年でサラリーマンに見切りをつける。そこから起業家人生が始まった。

レコードレンタルを皮切りに、ビデオレンタル、ファミコンレンタル、中古ファミコン販売などエンターテインメントをコアにピボット(事業転換)を繰り返す。その理由を「“ビジネスおたく”なんですよ(笑)」と言う岡氏だが、その背景にはいつも転換を余儀なくされる外部環境の変化があった。

夢展望の前身となる会社を立ち上げてからも危機は訪れる。法規制の導入で商材転換を迫られた時は「いちばんしんどかった」と振り返る。「それでも社員の給料の遅配は一回もないし、取引先には一度も迷惑をかけていない」。それが秘かな自慢だ。そうして上場にたどり着く。

そんな岡氏がプレイヤーから支援者に変わった。あるイベントの交流会で、若い起業家に相談を持ちかけられたのがきっかけだ。

自分ではたいしたことを言ったつもりはなかったのに「そんな話、誰も教えてくれなかった。もっと早く聞きたかった」と泣かれた。ひと月後にうまくいったと感謝の報告も入った。今までにない経験だった。

岡氏は日本スタートアップ支援協会を訪ねてきた起業家予備軍とは必ず会う。その中から「会員」に合格して支援を受けられる人はわずかだ。

「まず、目を見て話ができる人が少ない。ちょっと突っ込むとシュンとなってしまうから、話が5分以上続かない」。岡氏はそのやり取りを“壁打ち”と表現する。「信念と数字の裏付けを持っている人は、こちらの問いかけにバンバン打ち返してくる。1時間があっという間」。

面談では起業に必要な4つのフレームワークを提示する。観察、着想、発案、実現のステップだ。勘、経験、度胸を排除し、ビジネスのリスクを最小限にするためのリサーチを徹底して行なう。「起業に失敗する人たちはこのフレームワークをやっていない」。

協会を設立して2年。会員企業の2社が上場した。かつて事業転換のたびに「キーパーソンに会えた」と語る岡氏が、今は若い起業家たちのキーパーソンになっている。

代表理事 岡隆宏氏

(取材・文/荒木さと子 写真/Makibi)

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