商品開発/新事業

専門性生かし衛生関連商品の間口を広げる

2017.09.25


学校やオフィスでなじみ深い緑色の手洗用消毒石けん液を1951年に日本で初めて開発。洗浄のみならず殺菌、消毒を一度にできる石けん液として一躍注目を浴びた。

現在は「きれいをクリエイト」をスローガンに消臭、漂白、除菌なども加えた幅広い衛生商品をラインナップし主に業務用に展開している。

「さまざまな機能を持つ製品があっても、それを正しく有効に機能させることが重要」との考えから、施設の清浄度をあらかじめ測定し、最適な商品を提案する衛生管理システムを入口にビジネスを広げている。

日本はもともと衛生意識が高いが、さらに高めるきっかけをつくったのが2009年に世界的に流行した新型インフルエンザ。アルコールを多く含んだ同社の手指消毒剤は特に注目を集め、その冬は販売量がそれまでの30倍に跳ね上がったという。

65年間で培った衛生分野の知見を生かし、多くの大手メーカーへOEM供給も行っており、それらも含めると手指消毒剤の市場シェアは1割強を占めるという。

「新しいことにどんどんトライする風土を大切にしている」と出雲氏。開発で大切にしているのがユーザーの声だ。

「たとえば看護師さんは毎日何度も手洗いしなければならないので手がガサガサになりがち。その悩みに応え保湿成分を多く含む商品を送り出す一方、さらっとした洗い上がりを好む方向けの商品も出しています」と髙橋氏。

また、以前は容器はそのままに中身を詰め替える手法が主流だったが、衛生意識の向上から液がなくなれば容器ごと替えるスタイルが定着。そこで廃棄する際にかさばらないよう、使い終えたらコンパクトにつぶせる容器を新たに採用した。

現在注力するのが食品メーカーと病院・介護施設向け。前者は大腸菌、ノロウイルスに代表される食中毒対策、後者では多剤耐性菌に代表される院内感染対策に特化した医薬品仕様の商品展開も進める。

業務用に特化したノウハウをベースに今後は一般向け商品にも注力する。栗本氏は「デザインやPR手法なども考えながら掘り起こしていきたい」と先を見据えている。

大阪特販課長 栗本佳明氏(左)、管理本部副本部長 出雲誠氏(中央)、大阪特販課 髙橋あづさ氏(右)

(取材・文/山口裕史)


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