社員×社長 緊急対談 社員だって会社のことマジで考えてます!
組織について毎日脳みそをかき回しながら考えているのは社長だけじゃない。社員だって会社のことを一生懸命考えてる。風通しのいい強い組織とは一体どんなものなのか?社員と社長が組織について腹を割って語ってくれた。
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入社前と入社後でギャップはあった?
加藤:就活の時、会社説明会に参加して「アットホームで働きやすそうな会社だな」と思い就職先として決めました。入社してみると確かにアットホームでしたが、退社時間が夜10時、11時と遅く、みんなダラダラと残っているのが嫌やなあと思いました。おかしいなと思いながら言えませんでしたけど。
堤中:当時は、仕入先も取引先も含めて業界全体にまだそんな雰囲気が残っていた時期やったからな。今から思うと、僕も口では「早よ帰れ」と言いながら、本腰入れて残業を減らそうとしていなかった。
加藤:変わってきたなと感じ始めたのは、3年くらい前、週1日の定時退社日を設けた時ですね。でも、「17時半に帰れ」と言いながら「予算は達成せよ」って。その分仕事はたまってしまうわけだし、「そんなんできへんわ」と心の中では叫んでました。
堤中:「アクセルとブレーキを同時に踏め!」って言っているようなもんやから、現場は混乱するやろうというのはわかってる。でも、その中で君らが知恵を出して解決してくれたらいいなと思って見てたんや。
加藤:確かに。自分も早く帰りたいと思い始めたときから社員同士意見を出し合うようになりました。営業担当者一人に対して一人の内勤をつけたり、定時退社日をローテーション制にしていってだんだんと定時退社が定着していきましたね。
社長がめざす理想の会社像は?
堤中:僕がめざしているのは「月曜日に来たくなるような会社」。そのためにはまずES(従業員満足)の実現が大切やと思っている。社員同士コミュニケーションがとれていて、仕事も生活も充実していたらおのずとCS(顧客満足)にもつながるやろし。女性社員だけを集めた勉強会や30代前後の社員を集めた勉強会を始めた理由も、社会人としての「スキルを学ぶ場」だけでなく、経営層の「思いを伝える場」をつくりたかったからや。
加藤:僕自身、30代前後の社員を集めた勉強会に参加させてもらっていますが、去年は新入社員の教育マニュアル作成と指導を任され、いい刺激になりました。社長や常務からも「今年の1年生は違う」と言っていただいたのはうれしかったですね。
堤中:利益が出たら社員に還元しようというのも決めている。それも現金ではなく旅行で。最近ではハワイ、台湾、韓国に行ったし今年の3月は石垣島やな。お金で欲しいという社員もおるやろうけど、現金で払うと源泉分が抜かれてしまうから、気持ちの6、7割しか伝えられへん。旅行にすれば10割伝わる。そう思ってあえて旅行にしてるんやで。
加藤:それは今初めて聞きました。以前、社長の語録をまとめた冊子の中にも「社長だけが高級車に乗っている会社ではなく、全社員が乗れるような会社をめざしたい」と書かれていて、僕らに還元しようとしてくださっているんや、と。それはすごくありがたいことだし、だから頑張ろうという気持ちになります。
風通しの良い会社にするためにどんなことを?
堤中:社長、管理職、社員全員が何でも言い合えるような会社にしようと努めてきたつもりやけど実際のところみんなはどう思っているんやろ。
加藤:社長がプレイングマネージャー(選手兼監督)を務める社内の野球チームは毎週のように試合で招集がかかっていますよね。まあ、呼ばれる社員は苦労しているようですが(笑)。それと、年末賞与の時に社員一人ずつに手紙を添えてくださるのはうれしいです。僕の場合、いつも「もっと太れ。もっと情熱を持って」と書いてもらっていますけど。
堤中:そうやって僕は自分の考えていることを懸命に伝えているんやけど、それに対してみんながどんなふうに思ってくれているのか知りたい。社員に「率直に言いたいことを言ってみい」と伝えても、特に男性社員はもじもじしてるだけやねん(笑)。
加藤:やっぱり社長はこわいですし。下から上にものが言いやすい雰囲気があったかというと…。
堤中:それではいつまで経ってもあかんなと思って、僕らが入らず、第三者のコンサルに任せて若手の社員が率直な意見をぶつけられる場をつくったのが去年の9月やったかな。
加藤:その場では過激な意見がたくさん出ました。「会社のやることは企画倒れが多い」とか「早く帰ろうと言いながらも上司の意識が薄い」とか「やれやれ言われても言うだけじゃでけへん」とか。みんな一生懸命に取り組んでいただけに、文句を言いたい気持ちは十分に伝わってきました。そこで出た意見を管理職クラスの人に聞いてもらった上で、11月には若手社員と管理職の両者を交えて率直に意見を出し合う気軽な話し合いの場をつくりました。そうしたら、どうすれば仕事の効率が上がるかというテーマで意見がたくさん出てきて。そんなことは今までになかったことです。
堤中:僕が会議に入るとじれったくなってついつい「こんなふうにせえ」と言ってしまっていたからな。自分が言わなあかんところと、社員に任せて考えさせるところの塩梅はいつも難しい。でも、僕が思っている以上にみんな考えてくれているのはわかった。
加藤:みんな気持ちよく働きたいし、稼ぎたいという気持ちは一緒ですから。
堤中:僕の夢は、できるだけ早く社長業をリタイアして世界のゴルフ場やスキー場をめぐって遊ぶこと。そのためには、早く自分の分身を育て、お金が入ってくる仕組みを作らなあかんと思ってる。できる営業担当者のスキルをマニュアル化して伝えているのもそのため。まだまだ途上やけどな。
加藤:早く社長が安心してリタイアできるようにがんばります。
株式会社マシン三洋
堤中 徹氏 代表取締役社長 / 加藤 隼也氏 淀川営業所営業
会社DATA 創業/1956年 従業員/68名 事業内容/メカトロ機器、FAシステム機器をはじめとする機械・工具等の専門商社。