Bplatz press

安定供給のために取り組んだBCP社員の改革意欲に発展

2012.07.10

 当社の供給するガスは、工場では鉄の溶接や熔断などに、研究機関では分析用として、そして医療機関では吸入用酸素などに使われ、いずれの場合でもガス切れを起こさないことが最低条件の商品です。お客様が必要とする時に、常に安定的に供給することと、安心・安全に使用できる環境を築いていくことは私たちの職責でもあり、ガス供給会社としての重要任務でした。

 そこで、業界内のルールに沿った保安と安定供給対策に取り組むことでよいと言えるか、またコスト重視のお客様に対してともすれば見えにくい安定供給の価値をどう理解していただければよいのかをより深めようと、BCP※の勉強会に参加しました。

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 毎週の勉強会で出されるテーマに取り組んでいくのですが、社員に落とし込んでいくために社内にBCPプロジェクトチームを設け、幹部社員3人を含めたメンバーで手順書づくりなどを進めてきました。フル稼働時にどれだけ見込み生産をするかについて、従来は現場の経験則から設定していたのですが、業務毎に起こり得るリスクを検証していくことで、当社の最大許容停止時間、そして目標復旧時間を設定することができました。それにより、これまでの稼働から読んでいた見込み在庫量から、リスク時の対応を含めた在庫量が認識できるようになりました。またお客様に安定供給するためには、まず社員自身が安全な環境で働くことが大事だという気づきも生まれました。そこで、職場環境の見直しや、緊急時に必要な連絡が取れるよう家族の電話番号も含めた連絡網を作るなど、優先順位を決めてやれることから始めています。

 ただ、どうしても今の仕事にプラスして手間もコストもかかることなので、「なぜ今BCPなのか」という意識を社員全員が共有できるようにするにはまだ時間がかかりそうです。BCPに取り組むことが、ひいてはお客様の事業活動を支え信頼を得ることにつながって、同業他社との差別化にもつながるのだということを何度も伝え、併せて社員の年間目標にアクションプランとして落とし込んでもらうようにしています。先日、社員と話をした際には「取り組みを進めていくほどやらねばならない課題がどんどん出てきて焦る」と話すのを聞いて頼もしく思いました。会社を強くするためにも取り組まなければという使命感が少しずつ芽生えているようです。

 BCPの実践は、社員が日々の業務を改善していこうという風土にもつながっています。焦らず、じっくりと強い会社づくりができればと考えています。

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▲幹部社員メンバーによる定例ミーティングで取り組むべきことを具体化していく。

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▲事務所内に設置したヘルメットラック。まずは「社員の安全を守ることから」と、災害対策用備蓄品を設けた。

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▲リスク対応一覧表、インシデント対応体制など資料を作成しながらBCPの意識を根付かせていく。

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▲リスクを防ぐために何ができるのかを考えるため、工場での現場演習も定期的に実施している。

※BCP(事業継続計画)
火災や事故など予期せぬ出来事の発生により、限られた経営資源の中で、最低限の事業活動を継続、ないしは目標復旧時間内に再開できるようにするために、事前に策定される行動計画のこと。

株式会社マスコール

代表取締役社長

境 順子氏

http://www.masscoal.co.jp/

設立/1958年

従業員数/23名

事業内容/酸素、窒素、アルゴン、炭酸及び混合ガスをはじめとする各種工業用、医療用ガスを製造販売する。溶接材料、熔断機器の取扱いやガス配管設備の設計、施工、メンテナンスの他、自社工場において容器の耐圧検査及び附属品検査等を行い、お客様の幅広いニーズに応える体制を展開している。