“低級品”を磨きあげてヒット商品に
つばの部分にLEDライトを装着した帽子「TERUBO」は、ひょんなきっかけで生まれた。本業は米国塗料メーカーの代理店。取引先の要望に応えるべく中国に工場を設け、塗料業界向けに帽子やシャツなどの販促品の生産も手がけてきた。ある時、取引先から「LEDライトがついた帽子を製造してほしい」と設計図を渡された。素材もデザインも指示通り忠実に作ったが「見るからに安っぽく、不細工な仕上がり。自分なら欲しいと思わない出来だった」と雨皿氏は苦笑する。
その頃リーマンショックが襲い販促品事業の売上げが激減する。落ち込みを埋める新しい事業を考えた時思い出したのがその帽子。「どうせならデザイン、生地、縫製にとことんこだわった商品に仕上げてみよう」と「TERUBO」を完成させた。毎年出展しているDIYショーに陳列したところ一般来場者による人気投票で1位を獲得。メディアに取り上げられ、大きな反響を呼んだことで、大手スポーツメーカーからOEMの依頼が舞い込んだ。
さっそく自信満々にサンプルを手渡したが「この程度の品質で、うちのブランドをつけて売れない」と罵声を浴びた。その日以降、担当者のもとへ日参し、頭を下げながら生地、縫製のノウハウを教わった。中国工場に飛び、現場の担当者と喧嘩しながら完成したサンプルに「これならどこへ出しても恥ずかしくない」と今度はお墨付きを得た。品質を格段に向上させた「TERUBO」はOEMを中心に約2年で累計7万個を売るヒット商品に化けた。現在、夜間の作業用や暗闇での視認性を高めるためヘルメットやスポーツウエアにLEDライトを装着したいという依頼が相次いでおり、アイテム数をどんどんと増やしている。
▲帽子のツバに7個の高輝度LEDライトを内蔵。両手が使えるため暗闇での作業にも適している。
有限会社エーエム エンジニアリング
営業
雨皿 貫氏
設立/1995年 資本金/1,000万円
従業員数/6名 業務内容/米レッドデビル社日本総輸入元として塗料を販売。このほか中国の自社工場で塗料色見本帳、販促用商品の企画・製作・販売を行っている。