女性らしさ活かした経営
シリスジャパン(大阪市都島区)は化粧品、健康食品や美容機器の相手先ブランドによる生産(OEM)を得意としている。代表取締役の岡田今日子氏は、大手商社で勤務した後、女性が活躍できる場を求めて1998年に独立を果たした。現在は、美容クリニックやサロン、高級ホテル向けの製品を製造するほか、自らのノウハウを生かして海外展示会への出展や輸入代行サービスも積極的に取り組んでいる。
大阪は化粧品会社が多く、競争が激しい業界でありながら、女性経営者ならではの強みで他社との差別化を図ってきた。
例えば、提供する製品に流行に敏感な女性の視点を取り入れることができる点だ。
岡田氏は、展示会や交流会で最新の化粧品原料についての情報を収集する。女性が好むカフェや雑貨店に足を運び、流行のパッケージデザインを学ぶなど、常にアンテナをはり巡らせているという。オーガニックやアロマについてもいち早く注目し、ビジネスチャンスを逃さなかった。
また、一人一人の顧客への対応が細やかで、フットワークも軽い。「価格を安く抑えたい」という要望があれば、原料の調達方法や配合を見直して提案する。また、「小ロットで納品してほしい」という要望があれば、岡田氏自らが印刷会社に出向き、空いているラインを使用できるよう交渉することもあるという。要望に沿って商品の素材や容器、パッケージをコーディネートしていくうちに、自然に取り扱う原料の種類が増え、顧客のニーズにより一層幅広く対応できるようになっていった。
顧客からの信頼度が高いことは、OEM受注率の高さからも伺える。
海外進出や顧客拡大と、確実に事業展開を繰り広げる一方で、若い女性企業家への出資や留学生の職業訓練の受け入れなど、社会奉仕にも力を入れている。
岡田氏は、今後の事業展開について「無理をして事業領域を拡大せず、目の前のお客さま一人一人を大切にしていきたい」と話す。
女性ならではの心遣いと堅実さで成功している同社の飛躍を見ていると、女性が女性らしく活躍する社会が到来していることを感じさせる。
(大阪産業創造館 プランナー 住友綾子)
▲小ロット受注対応やアフターケアの充実など、丁寧な対応を心がけると話す岡田代表