産経関西/産創館広場

創業105年、老舗メーカー新たな挑戦

2014.10.14

165年前に開発されて以来ほとんど仕組みの変わらないブルトン管式の圧力計をはじめ、差圧計、液面計などの機械式計測器を製造・販売する株式会社木幡計器製作所(大阪市大正区)。

近年では電子センサや通信機器、ソフトウエアなど周辺製品の取り扱いも行っている。

今年で創業から105年を迎える歴史ある企業でありながら、安価な海外製品の国内流入や価格の下落を背景に、売り上げは2008年のリーマン・ショック以降、下降を始める。現社長の木幡巌氏は、曽祖父が立ち上げ、祖母、母が受け継いできた会社を「自分が何とかしないといけない」と、使命感を漠然と感じていた。

そんな中、急速に広がるインターネットに可能性を感じ、株式会社ウィザードを1997年に創業。以来、ホームページ制作をベースに、約400社に対して支援を行う中で、その企業が持つ競合優位性を全面にアピールすることを心がけてきた。また、自社の強みを認識していない企業にはコンサルティングを行ったり、顧客から特徴ある企業の紹介依頼を受けてマッチングを行ったりする中で、企業の強みを認識し、生かすことの大切さやその生かし方を学んだと言う。

その後2010年頃から家業の株式会社木幡計器製作所の事業に専念し、数々の新たな活動を開始した。

例えば、世の中に存在する、さまざまなモノをインターネットにつなげ、蓄積していくことで情報としての価値を生み出そうとするIoT(Internet of Things)分野において、中小企業6社とともに「関西積乱雲プロジェクト」を開始。本来現場での目視でしか状態を確認できない同社の計測器の情報を、通信機器を用いて(インターネット上の)クラウドに集約する。それらの情報をソフトウエアにつなげることでリアルタイムでの監視や分析結果の可視化を実現。異常の検知やメンテナンス時期の把握が可能になる。この遠隔管理サービスはすでに、燃料電池、風力・潮力保守などエネルギー分野に導入されている。

このほかにも、呼吸の圧力や流量が計測可能な医療機器など、いくつか新製品の開発にも取り組んでいる。「変革」を起こしながら自社の生きる道を切り開く、老舗メーカーの挑戦はこれからも続く。

(大阪産業創造館 プランナー 坂田聡司朗)

sankeikansai141014

 ▲新しく開発した同社の計器・設備点検管理システムが組み込まれたハンディ端末と通信機能付きの計測器

株式会社木幡計器製作所

http://www.kobata.co.jp/