「育てる」ではなく「育つ」組織
4月初めに「未来会議」と名づけた社員合宿を開きました。エンジニア、デザイナー、プレゼンターの3人1組の4チームが1カ月間練ってきたビジネスプランを競い合う場です。社員同士の投票で1位に選ばれたビジネスプランは、それから2カ月かけて事業、人員、資金計画を立案して、6月に再度プレゼンしてもらい事業化へと進んでいくことになります。会議に参加するたび社員はみるみる力をつけていくのがわかります。
各チームには、社員に混じってインターンの大学生にも加わってもらいました。実はうちで働くスタッフの半数以上は大学生のインターンです。フレッシュな若い力が、時に社員たちに良い刺激になることがあるからです。
学年、学部はバラバラですが、ただ一つの共通点は「未来電子で自分を成長させたい」という思いを持っていること。“採用面接”では「泥水をなめる覚悟はあるか」と本気度を問います。入ってから、こんなはずじゃなかった、がないようにあえて厳しくしています。
インターン生の“入社”後は、営業、プログラミング、デザインなど、最低自分ひとり分くらいは食べていけるスキルを伝授します。そして、それぞれの適性を見ながら予算、期間とともにテーマを与えます。そのときすべてを任せるかどうかは、企画よりも運営する力を見て判断します。
なぜなら、プロジェクトを進めていくと必ずつまずくポイントがあるからです。どこでどんなネガティブなことが起こるかあらかじめ想定してもらい、そのときにどう克服するか、どうなれば撤退するかまで考えさせます。大切にしているのは「育てる」のではなく「育つ」ことなんです。
1年前に営業を希望して入ってきた大学院生に、新規システムのプロジェクトでアルゴリズムの設計を任せてみました。その院生は、課題に突き当たるたび、通っている大学のさまざまな教授にアポイントを取ってはアドバイスをもらい、自力で練り上げました。そのシステムは実際にこの6月に大型商品として発売します。
現在、8人の社員のうち創業メンバーを除く5人はすべてインターンを経て入社しました。中にはインターン後、大手商社に入社したものの1年で舞い戻ってきた社員もいます。アップルやグーグルで働いていたことがキャリアになるように、未来電子テクノロジーもいつかそう言われるような会社になりたいですね。
▲社外のビジネスプランコンテストにも積極的に参加。多数の賞を受賞することで社員の会社への求心力を高めている。
▲誰に言われるでもなく、自然に始まっていたインターン生による始業前勉強会。ほぼ毎朝行われている。
▲月に一度インターン生も交えて行われる合宿「未来会議」。各チームが立案したビジネスプランを競い合い、事業化につなげる。
未来電子テクノロジー株式会社
代表取締役/CEO
福本 真士氏
http://www.miraidenshi-tech.jp
フェイスブックなどを使ったソーシャルメディアマーケティングを手がける。6月には就活生の考える力を見える化するサービス「Qration(キュレーション)」を始める。ビジネスプランコンテストの受賞も多い。