「私はあえて中小企業を選びました」、自分の生き方・働き方を明確にして企業選びを
学生の大企業志向はまだ根強いが、あえて中小企業を志望する学生も増えつつある。
今年の就活で中小企業に就職を決めた近畿大学の4回生2人に、これから就活に臨む3回生から率直に疑問をぶつけてもらった。
[近畿大学]
経営学部4回生 高倉 憲紀氏(写真左)
経営学部4回生 鴈林 美咲氏(左中央)
経営学部3回生 有下 真央氏(右中央)
経営学部キャリア・マネジメント学科准教授 松本 誠一氏(右)
【有下】お二人とも「あえて」中小企業を就職先に選んだと聞きました。それはなぜですか?
【高倉】小学校の時に始めた空手を社会人になってからも続けたいと思っていて。もちろん仕事もバリバリやってキャリアも積んでいきたい。そう考えたときに、道場のある大阪から通うことができて、仕事のやりがいも感じられる会社に勤めたいと思うようになりました。
大企業と中小企業、二社から内定をもらいましたが、自身が趣味人でもある社長から「仕事だけでなく趣味を見つけることが大切」と言われたことが決め手になって昭和電機(大阪府大東市)に入社を決めました。
【鴈林】大学の講義で中小企業の経営者のお話を聞くうちに、中小企業のほうがいろんな仕事を任せてもらえるのでは?と思うようになって。
結婚、出産してからも働き続けたいと思っているので、そのためには結婚までにどれだけ成長できるかが大事だと考え、その視点で会社選びを始めました。
説明会の段階から社長自身と直接話すことができ、私の思いを受け止めてくれると確信できた日本テクノロジーソリューション(兵庫県神戸市)に入社を決めました。
【有下】大企業に行こうと考えたことはありませんでしたか?
【高倉】高校生の頃は「東京にある大企業に行くねん」と周囲にも言っていましたね。でも空手の楽しさを知るようになり、それができる環境を大切にしたいと思うようになって。採用の面談では、練習がある日に定時で帰れるのかどうかを必ず確かめ、それをしっかり受け止めてくれたのが昭和電機でした。
小型電動送風機では国内トップシェアを持つメーカーで財務内容も健全。理念もしっかりしており、ここならやりがいを持って働けると思いました。
【鴈林】3回生の初めごろまでは漠然と大企業に入った方が周りに自慢できるし、親も喜ぶかなと思い、行きたい業界のなかで大手企業を探していました。そこから自分の将来をしっかり考えるようになり、中小企業という選択肢が出てきました。
【有下】私も大企業志向でしたが、3回生になって授業で中小企業とコラボしてPR動画を作成したり、商品開発をするうち、「やりたいことを何でもやってみたい」という好奇心を満たしてくれるのは中小企業なのでは?と思うようになって。今日お二人のお話を聞いていて、ますますその思いを強くしました。
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