真っすぐにアートやクリエイティブの事業化めざす
芸大卒業後、電子音響アーティストとして制作・発表活動を行っていた金崎氏は29歳で初めて就職活動に挑んだ。「制作・発表の傍ら携わっていたアートのイベント企画に面白さを感じ、これを広めるには営業力を身に付けなくては」との思いからだ。あえて「仕事がハード」と評判の大手広告会社を選んで就職した。
その後、金崎氏の企画力に以前から目を付けていた大手百貨店から「うちで催事企画をしないか」と声がかかった。独立を視野に入れ自ら「3年で独立」を条件に転職。大きな舞台で企画ができる充実感の一方で、やはり起業への挑戦心も膨らんだ。「自分の作品を世に問いたいというアーティストとしての性でしょうね」。
働きながら起業家養成プログラムを受講し、芸大出身者と企業の就職マッチング、デザイナー・クリエイターと企業のスキルシェアリング事業に手応えを得て会社を設立。当時は副業は禁止だったが「周りの理解があり、会社にはいないタイプと面白がってもくれた」。
2018年3月に退職して以降、事業は着実に成長軌道を描いている。その原動力は人との繋がりという財産だ。「実は広告会社時代の後輩に経営を任せたいな、と。僕はもともとの仕事である作品制作やアートイベント企画をやりたくて」。しなやかにそして自分に正直に時代を泳いでいる。
◎準備期間:1年半
いずれ独立を、とは考えていたが、チームで働く楽しさも感じていた。最後に自分を起業へと後押ししたのは「自分のやりたいことを実現するため」。
◎開業資金:100万円
プリンターや机・椅子などの備品の購入や事務所の頭金など。
◎家賃:月1万5千円
当初は人材紹介業で起業した制約上、月10万円の家賃がかかるオフィスを借りていたが、その後シェアオフィスに移転。
(取材・文/山口裕史 写真/内山光)
―― 起業年表(起業ストーリー) ――
◎2014年4月
企画運営しているイベントのスポンサー集めや集客のために営業スキルを磨こうと、大手広告会社に就職。
◎2015年7月
これまで企画してきたイベントの実績を見てきた大手百貨店に声をかけられ同社に転職。年間30本ほどイベントを企画。
◎2018年3月
2016年10月に受けた大阪産業創造館が運営する起業家支援プログラム「立志庵」に参加した後、大手百貨店を退職して独立。
―― 働きながら起業準備してみて ――
◎良かった点
百貨店勤務時代の取引先で得た人脈は独立後最初の顧客となった。
◎苦労した点
会社勤めしながら起業準備のための時間を捻出すること。会社の各種休暇制度を活用した。
◎気を付けるべき点
起業準備はしても会社でしっかり実績を残しておくこと。大手百貨店とは独立後も付き合いがあり、会社の顧客になってもらっている。
―― <起業・独立>ココがポイント ――
金崎さんは大阪産業創造館の14階にある起業準備のためのスペースとプログラム「立志庵」を利用し起業されました。立志庵では担当のコンサルタントから資金面や法人設立に関する指導を受けられていました。「立志庵」に入居すると起業仲間ができるのはもちろん、担当のスタッフコンサルタントとも関係性が築かれ、卒業後も長いお付き合いができます。金崎さんにも法人を設立された今も時々経営相談室をご利用いただいていますよ!
(大阪産業創造館 創業支援チーム 明田 豊広)
【 立志庵 】https://www.sansokan.jp/akinai/risshian
株式会社アートマネージメント
代表取締役
金崎 亮太氏
事業内容/芸大・音大出身者の転職エージェント、デザイナー・クリエイターのスキルシェアリングサービスの運営
従業員数/1人