Vol.10 従来型商店街で最大の千林商店街を有する「旭区」
大阪は昔から“商いの街”と言われ、市内各地の商店街はかつて押すな押すなの人だかりでしたが、時代の流れは商流を商店街から大規模店舗や商業ビルへと劇的に変化させました。しかし、大阪には依然、活況を呈している商店街が今も少なからず残っています。
そこで今月は、従来型の商店街(大型店の割合が低いこと、また、地下やビル内の商店街を除く)に着目して分析します。
多くの事業所数を有する商店街を10位まで抽出すると(図参照)、馴染みのある商店街が並んでいます(日本一長い天神橋筋商店街は振興組合が丁目毎などで独立しており、最大の天五でも43事業所)。
事業所数でトップにあるのが旭区の千林商店街で106を誇ります(ただし、同振興組合のHPでは202店舗とあり、本事業所数とは格差があることに要注意)。
小売業関連のその他の指標をみると、商品販売額、従業者数、売場面積では、千林商店街は日本橋筋商店街に次ぐ第2位に甘んじていますが、日本橋筋は通称“でんでんタウン”と呼ばれる電気街であり、他の9つの商店街とは異質と言えますので、日用品の単独商店街としては千林が最大と言えます。
千林商店街は、京阪の千林駅と大阪メトロの千林大宮駅間の660mを、東西方向に貫く全覆型アーケードの商店街で、そこを中心として、今市商店街(49事業所)や森小路京かい道商店会(11事業所)などとも連坦しています。
他方、旭区を人口統計から見ると、かなりの高齢先進区であることがわかります。具体的に、年齢階層別の人口割合で見ると、65歳以上は29.4%と24区中、第4位、75歳以上は14.7%で第3位です。
高齢者は足腰に不安を抱える割合も高いことから、なるべく近隣で買い物を済ませたいとの欲求が強いと考えられ、また、商店主との買い物時の会話なども楽しみの一つであると想像され、こうしたニーズが商店街を支えていると考えられます。
ただし、将来はさらなる高齢化が必至であり、外出にも不自由な人々が増えることは確実であることから、店舗側では高まる宅配サービス需要に対応することが求められます。
しかし、単一商材を販売する小規模店舗が単独で宅配サービスを展開することは極めて難しいことから、複数の店舗を買い回りして、宅配までを請け負う買い物代行サービス事業などの新たな展開が期待できるかも知れません。
(取材・文/大阪産業創造館 徳田裕平)
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