Vol.7 市内の水産関連産業に最も幅広く影響を及ぼしている「東住吉区」
長居公園を東部に抱える東住吉区は、北部に大阪市東部中央卸売市場(以下、東部市場)が立地しています。市場取扱規模は、国内第2位の本場(福島区野田)には及びませんが、その1/3程度を誇ります。
開場は昭和39年と古く、老朽化や市場ニーズ対策として平成24年春にリニューアルを終え、新たな市場へレベルアップしました。
両市場の取扱商品を比較すると、東部市場は水産物、特に冷凍水産物、加工水産物の割合が多いことが特徴です。
市場への入出場調査(29年、24時間)によれば、両商品の搬出量は、市内向け、府内向け、および他府県を含む合計で東部市場が本場を凌ぎ、特に市内のスーパー向け冷凍水産物や市内のその他事業者向け加工水産物では本場を大幅に上回っています。
こうした特徴を統計データで確認します。グラフには両市場が立地する東住吉区と福島区に加え、民営卸売市場が立地する浪速区、ならびに東部市場の北側を区境とする生野区の4区と、参考として東住吉区と生野区の合計値も示します。
統計指標は製造業、卸売業、小売業の各水産関連産業分類の事業所数、従業者数の市内シェアです。
従業者数の市内シェアの区別状況
これをみると、東住吉区は水産食料品製造業の事業所数と鮮魚小売業の事業所数、従業者数でトップのシェアを誇ります。また、ものづくりが得意な生野区は水産食料品製造業の従業者数がトップで、東部市場から仕入れた加工水産物等を用いていると思われます。
生鮮魚介卸売業に関しては福島区が突出していますが、東住吉区と生野区の合計のシェアでは、製造、卸、小売を総合すると福島区を上回っていることから、東住吉区は市内の水産関連産業に最も幅広い影響をもたらす区であると言えましょう。
(取材・文/大阪産業創造館 徳田裕平)
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