スタッフ連載

取引条件の交渉力向上を支援する公的機関

2018.03.15

中小企業の商品開発や海外展開の支援に取り組む元金融マンの竹内心作がお届けする連載コラム。知っておくと、いざという時に役立つ情報を月1で紹介します。

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「そうだ 京都、行こう」言わずと知れたJR東海の名コピーである。
このフレーズの秀逸さは、誰もが日本に京都があることを知っていながら、改めてその良さに思いが至った瞬間を端的に切り取った事にあるだろう。

中小企業の海外展開を支援する公的機関の存在もよく似たものだ。あることは知られているが、忙しい日常でその良さは気づかれにくい。
本連載ではそんな公的機関にスポットを当て、「そうだ 支援機関、行こう」と一人でも多くの方に思っていただけるよう、使えるサービスや事業を解説していく。

「そうだ 支援機関、行こう」の第10回目で取り上げるのは、公益財団法人全国中小企業取引振興協会(全取協)だ。

この連載では海外展開から始まり、コスト削減や人材活用などの支援をしてくれる公的機関を紹介してきたが、共通するのは経営者の「能動的な活動」をサポートする点だった。

しかし、経営の現場では受け身にならざるを得ないシーンもある。特に資金面や人材面の資源が乏しい中小企業は、大手企業との交渉の場で劣勢にたたされる場合が多い。

今回紹介するのは全取協が実施している、価格交渉サポートだ。具体的には、発注元からの単価引き下げ要請などに対し、取引条件の交渉力向上を支援するために専門家による個別相談指導を無料で受けることができる。

つまり、立場が上の場合が多い発注元が無理な要求を突き付けてきた際に、価格交渉を行うノウハウを伝授してくれるのだ。中小企業は交渉をシミュレーションできる上に、法令の面からも交渉のポイントを知ることができる。

単価引き下げ要求以外にも、
[1]原材料価格やエネルギーコスト高騰時の取引価格据え置き要求
[2]量産品と同じ単価での補給品販売の要請
[3]製品図面やノウハウの無償提供要求
[4]受注者への従業員派遣要請や自社商品の購入要請などの要求
があった場合の対処法を教えてくれる。

未だにこのような「下請けいじめ」があるのかと驚いてしまうが、立場の弱い受注側は泣き寝入りするケースも少なくない。現に困っている経営者には、ぜひ価格交渉サポートを受けていただき適正な取引を実現してほしい。

【公的機関データ】
公益財団法人全国中小企業取引振興協会
http://www.zenkyo.or.jp
<下請振興事業関係>
東大阪市荒本北1-4-17クリエーションコア東大阪
TEL:06-6748-1144
<小規模企業設備資金事業関係>
大阪市中央区本町橋2-5マイドームおおさか内
TEL:06-6947-4345

公益財団法人全国中小企業取引振興協会

http://www.zenkyo.or.jp