Bplatz press

顧客と二人三脚で進化する無機防汚コーティング剤

2017.07.03

有機物と無機物はそもそも水と油のような関係で、アクリルやポリカーボネートなどの有機基材の上に無機皮膜を密着させるのは困難と考えられていた。その概念を覆して九州大学との産学連携の成果で開発されたのが無機防汚コーティング剤「エクセルピュア」だ。優れた防汚性、帯電防止効果と光透過率の向上によって、さまざまな分野に用途が広がりつつある。

1946年に設立した中央自動車工業。1988年からは自動車の新車向けボディコーティング剤の取り扱いを始める。販売店が納車する際のオプションとしてコーティングを提案する手法で市場を広げ、その領域ではトップシェアを誇る。

今年6月に稼働した新研究開発施設「中之島R&Dセンター」。四季の気候を再現できる人工気象室などを備える。

長年培ってきたコーティング剤のノウハウを自動車分野以外でも活用できないだろうか、と研究開発プロジェクトがスタートしたのは6年前のこと。
「とはいえどこにターゲットを定めてよいかわかりませんでした。当時、防汚対策で最も注目されていた光触媒に着目し、この欠点を補えるものをまずはつくってみようと考えました」と、平井氏は手探りの状態からのスタートだったことを振り返る。

商品開発部 研究開発グループ 係長 平井 明仁氏

基材を選ばず、施工が容易で、陽が当たりにくい場所でも効果を発揮する材料を、劣化に強い無機剤でつくることを目標にした。しかし、効果を発揮するには無機剤と有機基材をどう密着させるかが問われた。

平井氏はその分野に精通した研究者を探し当て、密着性を高める材料の組み合わせを1年がかりで見つけ、トライアル&エラーを繰り返し、遂にエクセルピュアが完成した。
最大の特長は親水性。基材の表面に超親水皮膜を形成することで水滴がべたっと濡れ広がるようになる。そのため、基材と汚れの間に水が入りやすくなって汚れを流し落としてくれる。帯電防止効果が高く、そもそもホコリを寄せ付けないほか、光の透過率の高さも際立つ。

こうした性質を活かして使われている一例が太陽光パネルだ。宮崎大学との共同研究の結果、エクセルピュアを塗布することで発電効率が3%向上する結果も得られた。また、防犯カメラのレンズカバーに塗布することで、雨の日でも水滴が粒にならず常にクリアな画面で撮影が可能になる。建物のガラスに張るフィルムにも採用が進みつつある。
「それぞれのユーザーで、基材も目的も異なるため、一緒になってカスタマイズを繰り返し改良を進める」という柔軟さもエクセルピュアの強みで、現在シリーズ商品も6つまで増えた。「高所設置物等のメンテナンスも容易になり、環境に負荷をかけず人体に優しい。環境、健康、安全の強みも訴えていきたい」と嘉悦氏。エクセルピュアを丁寧に育て、じっくり売り込んでいこうとしている。

営業開発部 市場開発グループ マネージャー 嘉悦 信之氏

(取材・文/山口 裕史)

≪中央自動車工業も出展!オススメイベント≫ ※終了しました
【出展数58社】【参加無料】
新機能・高付加価値の素材・加工技術が集結(7/26,27開催)

大阪産業創造館で開催される商談会の情報はコチラから
https://www.sansokan.jp/syodankai/

中央自動車工業株式会社

商品開発部 研究開発グループ 係長 平井 明仁氏

営業開発部 市場開発グループ マネージャー 嘉悦 信之氏

http://www.central-auto.co.jp/

事業内容/自動車部品、用品の開発・販売