産経関西/産創館広場

地域医療と一体 新たな薬局として注目

2013.04.08

 少子高齢社会を迎え、医療を取り巻く環境は急速に変化しており、医療が求められる場も医療機関だけではなく、在宅や介護施設へと広がりを見せている。こうした環境の中、薬剤師を活用した、これまでにない地域医療モデル構築を行っているのが、ファルメディコ株式会社(大阪市北区)だ。介護施設や高齢者居宅へ薬剤師が訪問し、薬剤指導やバイタルサインチェックなど行っており、地域医療と一体化した新しい世代の薬局として注目されている。代表取締役である狭間研至氏は現役の外科医であり、母親が経営する薬局を継いだ2代目社長でもある。

 「よりよい地域医療のあり方を追求し実現したい」という思いで、地域医療制度における薬局や薬剤師のあり方を模索する中で、薬剤師が介護施設や高齢者の居宅などへ訪問し、そこで服薬指導、配薬支援、医療スタッフとの情報提供などを行う「薬局3.0」というコンセプトを確立し、具現化するために奮闘している。

 これらの取り組みを自社だけでなく、薬局業界から医療業界全体に広げていくために、2009年に一般社団法人日本在宅薬学会(12年に一般社団法人在宅療養支援薬局研究会より改称)を設立。それまで社内で行っていた薬剤師向けの研修を社外の薬剤師に向けても開催している。

 同会が主催する「薬剤師のためのバイタルサイン講習会」は3年間で1500人を超える薬剤師が受講。今年4月には認定薬剤師制度も発足。7月には第6回の学術大会を開催するなど薬剤師をキーワードにした地域医療イノベーションに挑んでいる。

 こうした姿勢に賛同し、異業種から医療分野への参入を希望する企業からの相談も多く寄せられる。また、薬剤師が患者の体調の変化に気づくよう、IT企業と協同で遠隔モニタリングを行っている。これらの事業は薬剤師の業務を効率化し、サービスの質の向上へとつながっているという。

 業界発展のため、自社の取り組みをオープンにし、他社とのコラボレーションを積極的に行う狭間氏の姿勢は、今後の事業展開につながっていくに違いない。
(大阪産業創造館 シニアプランナー 前場大輔)

ファルメディコ
▲多くの参加者を集める「薬剤師のためのバイタルサイン講習会」

ファルメディコ株式会社

http://www.pharmedico.com/