産経関西/産創館広場

おしどり夫婦が作り出す和モダン家具

2014.06.23

展示会場マイドームおおさか(大阪市中央区)に、気ぜわしいビジネスマンの心を和ませる一角がある。障子とさまざまな色の和紙が織りなす和の空間を演出しているのは、有限会社種村建具木工所(同市平野区)が製作した「彩り障子」だ。

同社は1956年、木製建具・造作家具の製造取り付け業として先代の種村昭美氏が創業。腕の良い職人が多いと評判になり、業界でも一目置かれる存在へと成長した。

そんな中、2007年に事業を引き継いだのが現社長の種村義幸氏だ。子供の頃から物を作ることが大好きで、工場は格好の遊び場だった。「和の優れた技術を現在と未来に残していく」という信念のもと、1級建具製作技能士に弟子入りして腕を磨いた。

しかし、社長就任の前後から経営環境が激変。不況の嵐が得意先を倒産に追い込んだり安い既製品が市場に出回ったりして、売り上げが減少に転じた同社は正念場を迎えた。

何とかトンネルから抜け出そうと思案していたときに出会ったのが「“町工場”は“待ち工場”になったらアカン」という言葉。それまで待ちの姿勢で注文をもらっていたが「これからの経営は打って出るべきだ」と気持ちを切り替えた。妻の貞子さんも自社ホームページの立ち上げに尽力し、同社の技術力を必死でPRした。現在の得意先の半数がこの頃に獲得した取引先ということからも、高い技術力が長くファンに支持されていることがよく分かる。

本業の建具製作が順調になった同社は製品開発にも着手した。冒頭の「彩り障子」に続く新商品は、現代(いまどき)の床の間「imadoco(イマドコ)」。有名デザイナー、ナカジマミカさんの協力で和モダンな雰囲気が創造され、日本人なら誰もがほっこりと落ち着く空間が出来上がった。

今後は建具の製作にとどまらず、居心地の良い空間を提案するクリエーティブな仕事にも挑戦する計画だ。過去と現在の技術の融合、建具と家具の一体化、伝統工芸とデザインのコラボレーションなど、今回の取材は「2つのものの調和」がキーワードになった。義幸社長と貞子さんを見ていると、作り手の心の調和が優しい製品を生み出すのだと実感した。

(大阪産業創造館 シニアプランナー 竹内心作)

 

sankei140623

▲二人三脚で会社を切り盛りし、新製品開発にも取り組む種村義幸社長と妻の貞子さん

有限会社 種村建具木工所

http://www.tanemoku.com