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【ロングインタビュー】オカンの残した「宝」を守る 元プロバスケ選手の転身

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結婚式場事業の社長を務める川辺氏は、ついこの間までプロバスケットボール選手として活躍していた経歴を持つ。母からは会社ができた大学生のころから継承を言い渡され、ことあるごとに商売の心構えを叩き込まれた。コートから会社へと舞台を移し今は亡き母の遺志を継ぐ。

―プロバスケットボール選手から社長を継いでまだ間もないのですね。

昨年の7月2日が初出勤日でした。支配人に連れられてあいさつ回りをするのですが、最初は名刺の渡し方さえわかりませんでしたからね。相手の名刺を受け取るときに「頂戴します」とかね。それまでの人生で使ったことない言葉ですから、舌が回らないんです(笑)。

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―最後は島根のチームに所属されていたのですね。

甲南大学のバスケットボール部の出身で、はじめは「三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ」へ、そこから「京都ハンナリーズ」「大阪エヴェッサ」を経て最後は「島根スサノオマジック」に在籍していました。選手を続けるうちに指導者として教えたいという欲求が出てきました。

けがをしてから、頭脳で勝負する力を鍛え、今までよりずっといいプレイが出来る様になりました。「背が低い」といったハンデがある子でも活躍できるということや、もっとバスケをメジャーなスポーツにしたいという思いもありました。チームからは、「来季は選手兼アシスタントコーチで」というオファーをいただいていました。ゆくゆくはコーチでということでしたし、甲南大学からもヘッドコーチにという話があって。継承することにはずいぶん迷いもありました。

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―継ぐことを決断した大きな理由は?

亡くなったおかんの顔が浮かぶんです。「この会社はあんたが継ぐんやから」と言われていましたから。両親の働く姿を見て苦労も教えてもらった一方で、自分で仕事をする楽しみも教わっていましたし。

―継ぐことは小さいころから意識していたのですか。

父はそもそも紳士礼服製造の2代目で、母は父と付き合っているころから、子どもが生まれたら全員に会社を継がせようと考えていました。そのために、3歳までには脳みそできるからこういう食事をさせようとか、こういう教育をしていこう、と話していたようです。毎日の食事のたびに、これを食べたら頭がよくなる、体が強くなるという説明をされていました。あとは「どんなことでもいいからまず1番になることを探せ」「言うたことには責任が生じるから、やり通せ」ということもよく言われました。

上の兄が14歳、姉が13歳、下の兄とも11歳離れています。上3人は毎朝家のベランダで縄跳びをさせられて、その後、家の屋上から並んで「おはようございます!」「今日もよろしくお願いします!」と大きな声で言わされてから学校に行っていました。上3人が大きくなり、僕は一人でやっていました(笑)。学校の3者面談で、おかんがあまりの成績の悪さに先生の前で僕を殴ったこともありました。しかも殴る手を握りすぎて内出血を起こしてたんです。その母の手を見て、親父と兄からさらにぼこぼこにされて(笑)。

―そういう教育に抵抗はありませんでしたか?

ありませんでした。この谷町の界隈は商売人が多くて、家に戻ってくるのが当たり前のような雰囲気がありましたしね。「川辺家の4番目の子」としてみんなに知られてましたし、駄菓子屋さんも、自転車屋さんもみなツケがきくんです。地域全体がムラのようなもので、居心地がいいんです。

通っていた学校も大学までの一貫校で、クラスで社長の息子でない同級生は3人くらいしかいないんです。高校生のころから、同級生と家業の話をしていました。そういう環境で育ったというのも抵抗がなかった理由かもしれません。

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―結婚式場運営の会社はお母様が立ち上げたのですね。

1995年1月に阪神・淡路大震災が起きて、紳士礼服製造会社の社員が予定していた結婚式が挙げられなくなったそうです。そのときに、うちのビルがあるからそこで式を挙げさせようと両親が考えたのがきっかけです。そのときに、挙式費用が高くて挙げられない人がいることもわかって、それならもっと適正な価格で、だれでもが結婚式をできるようにと考え、4万9800円の格安挙式のサービスを始めたのです。母が57歳のときのことでした。当時は、紳士礼服の事業が行き詰まっていたころで、打開する意味もありました。これが当たったのです。

その後、長兄は東京の結婚式場運営、姉はデザイナー、次兄は紳士礼服製造の会社をそれぞれ引き継ぎました。これらブライダル事業グループの中核として式場を仕切っていたのがおかんです。多いときで1日14件の挙式を受けていました。おかんは、すごいバイタリティーの持ち主で、なおかつとても温かい人でした。

次ページ >>> 母からの教えを生かし、新たな事業への挑戦も。

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2015年01月09日
RIVERSIDE ELEPHANTS株式会社
代表取締役   
川辺 泰三氏

婚礼プロデュース、チャペル(結婚式場)運営、レンタル衣装(ドレス・着物)の運営など。

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