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配管・容器内の温度変化を最小限に抑える真空断熱パイプ

放熱ロスを10分の1に抑える真空断熱パイプ

チョコレートは40度以下になると固まるという特性がある。よってお菓子の工場では、チョコレートを流体のまま配管を通して運ぶために、チョコレート自体の温度を40度程度に保つ工夫がなされている。一般にはステンレスの二重配管を用い、外側の層を温水で保温しながら流体を保つ方法が取られるが、この場合、洗浄するたびに配管を外す必要があるなど手間が多い。そこで注目されているのが、東洋工業が開発した「真空断熱パイプ」だ。

真空断熱パイプは魔法瓶の水筒をイメージするとわかりやすい。ステンレス配管を二層構造とし、真ん中を真空にすることで高い断熱性能を発揮する。この真空断熱パイプを使えば、一般のステンレス配管に比べて放熱ロスが10分の1に抑えられ省エネにつながる。また、断熱材で保温する必要がないため省スペース化が可能で、塵埃(ガラス繊維質)も無くなり、食品工場やクリーンルーム内の配管に適している。9年前に開発をスタートし、大手食品メーカーなどさまざまな業種への導入が進んでいる。

失敗を乗り越え真空を保つ独自技術を生み出す

工場の配管工事を長く手がけ、製菓工場のチョコレート二重管配管を主に取り扱ってきた東洋工業。「15年ほど前に大手菓子メーカーの二重管配管を施工しているとき、真空断熱パイプの存在を知ったんです」と坂本会長は振り返る。
真空断熱パイプを製作しているメーカーは大手も含め数社のみ。しかし大手の製品はコストが高く、納期も長いため、導入企業の負担となっていた。「ならば小回りの利く中小のうちが独自開発しよう」と思い立った。従来から手がけていた二重管に真空断熱パイプの構造が似ているのも幸いした。

「真空断熱パイプを開発する際に最も苦労したのは、真空ポンプと切り離す際のシール(封止)方法」だという。配管内の空気を真空ポンプで抜き、真空状態にするのは容易だが、最後に配管と真空ポンプを切り離す必要があり、その段階で多くの失敗があった。「最初は歩留まりが悪く、ビジネスにならなかった」。試行錯誤の末、配管とポンプを切り離す瞬間に接合面を溶かし、外気を遮断した状態で縁を切る独自技術を生み出した。

真空断熱パイプの特性を活かし省エネ設備分野への進出も視野に

製品完成後はパイプ内に100℃近い熱湯を注ぎ入れ、外管表面温度の変化をテストする。「もし真空状態になっていなければ、数秒でパイプの表面が熱くなります。いまでもテストの際はドキドキしますね」と笑う。8年前に開発をスタートし、約2年の試行錯誤の末、4年前から大手食品メーカーへ250本を納品して自信がついた。それ以降、アイスクリームやチョコレートの菓子工場をはじめ、さまざまな用途の断熱配管として導入を進めてきた。
低温~高い流体温度での真空断熱パイプを手がける企業はほとんどなく、大手と違ってコストも低い。さらに短納期での対応も可能だ。「真空断熱パイプは放熱ロスが少なく、結露・凍結防止にもつながる。今後はこの特性を活かし、省エネ設備の分野へも展開したいですね」。

 

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▲配管とポンプを切り離す瞬間に接合面を溶かし、外気を遮断した状態で縁を切る独自技術。真空断熱パイプは直管をはじめ、T字管なども対応可能。

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▲【技術力研鑽の極意】「同業他社がやっていないことに挑戦する」(坂本 康一取締役会長)

2012年11月10日
東洋工業株式会社
取締役会長  
坂本 康一氏

設立/1954年 資本金/3,000万円 従業員数/10名
事業内容/建設工事に伴う付帯設備工事をメインに、工場の配管設備の施工を得意としている。真空断熱パイプ以外に熱交換器や温水循環装置の製作も手がける。

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