産経関西/産創館広場

自然食の伝道師、ナチュラル経営

2014.06.30

利用客の9割以上が女性という「玄米&やさい食堂 玄三庵」を大阪市の繁華街、肥後橋、梅田、淀屋橋、心斎橋で展開する株式会社サニーブランチカンパニー(大阪市北区)。代表の高根三枝氏は、19歳の時に患った病との闘病の中で自然健康食と出会い「いつか食材を世に広めたい」という想いを持つようになる。

OL時代に会社の周りに健康食の店がなかったことから、自ら創業しようと思い立ち退職。飲食店でアルバイトとして働く傍ら、大阪産業創造館の飲食店開業支援プログラム「あきない虎の穴」を受講した。店舗運営のノウハウを学んだ後、2006年、肥後橋のオフィス街で10坪弱のテークアウトをメーンにした1号店をオープンした。

当初は集客に苦戦したが、産地にこだわった野菜と玄米を使った定食や弁当が徐々に評判を集め、4年後には梅田に2号店をオープンした。

梅田に近い堂島でOLとして働いていたこともあり、実は梅田が1号店の希望地だったという高根氏。地代が高く断念した経緯もあって、梅田進出は悲願だった。

反対の声も多かったというが、周囲の心配をよそに2号店は連日満員御礼。2012年には商業施設「淀屋橋odona(オドナ)」にも出店。1日平均300食を売り上げる人気店になった。

出店を続ける中、優秀な人材の確保と資金調達を目的に2011年には法人化。女性スタッフが安心して働けるよう福利厚生を充実させ、多店舗展開に必要不可欠な人材の定着化を図った。

高根氏の出店戦略は明快だ。食材のレベルを落とす、コンセプトを変えるといった妥協を一切せず、各店が稼げること。また現場の「これでいける」という肌感覚を大事にしており、日替わりで各店舗にスタッフとして入り、客とのコミュニケーションを積極的に取っている。

2013年の心斎橋出店を経て、来年出店予定の5号店で店舗展開はいったん打ち止めだ。「週休2日制にしたいので」と高根氏は笑うが、次はデリバリー事業へ進出する。

創業時の想いを大事にし、着実に事業を拡大してきた高根氏は今も常に現場にいる。自然体の彼女の魅力がそのまま店の魅力となり、多くの人をひきつけているのだろう。

(大阪産業創造館 プランナー 浜田哲史)

sankei140630
▲淀屋橋odona店の前でスタッフと談笑する高根氏(右から3人目)

株式会社サニーブランチカンパニー

http://www.genmian.lunch-box.jp/