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進化し続ける朝礼 カイゼンで強みを磨く

2014.02.07

朝礼やカイゼン活動はともすればそれに取り組むこと自体が目的になってしまいがちだ。浜野氏もかつてはそうだった。ある日、朝礼で指示したことと違う加工をする光景に出くわしてがく然とする。「社長の話など誰も真面目に聞いてへん。思えば会社員時代の自分も同じやった」。

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当事者意識を持たせるため、若い社員に朝礼の進行を任せた。クレームがすぐに半分に減った。納期に間に合わせるため作業が予定通り進んでいるか逐次確認したいと社員からの提案があり、昼礼、終礼が加わった。するとクレームはほぼゼロになった。

同時期に始めたカイゼン活動では全社員に月1回、報告書の提出を義務づけた。提案ではなく、自分が実施済みのカイゼンが対象だ。「どんな内容でもけなさない」ことを徹底し、1年で最も優れた取り組みには賞金3万円を手渡す。社員に「考える」習慣や発想力が身についたほか、工程の時間の短縮やコストダウンにもつながっている。

リーマンショック後は価格競争に巻き込まれるのではなく、朝礼やカイゼンで培った顧客への対応力を強みに、業界最速の短納期をめざす取り組みを強化している。ここでも貢献しているのは朝礼だ。朝礼の運営を社員で構成する朝礼委員に委ねたところ、出てきたアイデアが「初恋」や「ニュース」などのテーマの中からサイコロを振って決めたテーマで話す1分間スピーチ。社員間のコミュニケーションがより密になることで、「業務上での無理」が言いやすい雰囲気が醸成されている。

昨年12月に、『見積もり15分、納品24時間以内』をうたったネット受注専門のサービスを立ち上げた。「注文をいただいた顧客から、助かった、ありがとうと言われることが増え、何より社員のモチベーションになっている」。取材当日、前日ネットで受注した加工品を山梨県の業者が受け取りに到着したところにちょうど出会った。製品を受け取る側、引き渡す側双方にあったのは満面の笑顔だった。

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▲浜野氏が毎日更新するブログを冊子にしている。朝礼やカイゼンの取り組みも紹介され「会社案内代わりになっている」。

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▲朝礼の1分間スピーチのテーマを決めるためのサイコロ。スピーカーは前日にサイコロを振り、本番に臨む。

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▲社内に貼られた「改善提出ボード」。カイゼンを表彰する「カイゼン大賞」は社員の投票で選ぶ。提出数の多さを競う部門もある。

株式会社レーザーテック

代表取締役

浜野 太郎氏

http://www.laser-tech.jp/

設立/2002年 従業員/10名 事業内容/レーザー使ったステンレスやアルミの加工・切断・クリーンカット・切り文字・パイプ加工。「見積もり15分以内」をうたったネット受注専門のサービスを立ち上げた。