「褒める」をバッジで見える化 ゲーム感覚でできる社員同士の評価システム
エステや飲食店など特別価格で体験できる日本最大級のお試しサイト『トラコレ』や、スマートフォンでお店のポイントやクーポンを管理できる『Zi r i r i』など、ユニークなサービスを提供する株式会社シンクスマイル。同社は2007年の設立以来、6期連続で増収増益を実現している。この勢いはどこから生み出されるのだろうか。
「企業はヒト・モノ・カネと言われるけど、小さな会社で全部そろうことはない。ヒトしかない」と新子氏。新しい価値を生み出すために「絶対に必要なのはチームワークなんです。これがなかったら成果は生まれない」。当初から社員の育成に力を注ぎ、売上げは順調に推移していく。しかし、社員が50人を超えた頃、思うように結果が出なくなってしまう。
「もっといけるはずなのに」。頭を悩ませた同氏は、共通の価値観を決める必要があると思い至る。「これまで経営理念は掲げてはいたが、それを具体的なものにまで落としこめていなかった」ことから、10の行動指針を作り出した。
しかし、行動指針はできたものの、社員にこれをどう浸透させるかが問題だ。やらされ仕事になってはいけない。ゲームのように気軽に楽しく取り組んで欲しいと考え生み出されたのが、社員同士が評価や感謝の気持ちをウェブ上のバッジで贈り合う『CIMOS(シーモス)』だ。
バッジは、「挑戦した人」「笑顔が素敵な人」や「情熱的に仕事をした」「奇想天外な個性を発揮した人」など20種類の指標で贈られる。バッジの獲得数は報酬や人員配置に反映されるなど、人事考課にも連動させている。
まず変わったのは社内の雰囲気だ。バッジを贈られるということは褒められるということにつながり、やる気が湧いてさらにお互いの絆が深まる。全社員のバッジ獲得状況は社内に公開。「隣の人のことでも、社員が100人を超えると見えなくなる」こともあるが、その人が集めたバッジを見れば、敬意と感謝の気持ちがお互い生まれるという。
「それぞれバッジを集める過程でおのずと行動指針が実践されている」と同氏は語る。
この取り組みがマスコミに紹介されると、多くの企業から「わが社でもやってみたい」と引合いがあった。可能性を感じた同氏は、他社でも使えるようにカスタマイズしたシステムを3月にリリースする予定だ。あなたの会社でも「敬意と感謝のバッジ」を贈り合う日が来るかもしれない。
▲バッジは全20項目で評価され、贈られる。毎月、バッジの獲得ランキングをウェブに公開する。
▲バッジは取引先企業の人々からも贈られる。同僚はもちろん、社外から評価されることは何より社員のモチベーションアップにつながっている。
▲自分の貢献・他者からの評価が一目でわかるレーダーチャート。社員が長所をさらに伸ばしたり、短所を克服する手助けにもなっている。
株式会社シンクスマイル
代表取締役
新子 明希氏
設立/2007年
従業員/105名
事業内容/お試しサイト「トラコレ」や、スマートフォンと連動させたポイントカードシステム「Ziriri」など独創的なサービスを企画・運営。『CIMOS』の販売も開始した。